社会との関わり方

聞いてくれてありがとう

感謝の気持ち

他部署の方で、
いつも1人で頑張っている私のことを、
気にかけてくれる方がいます。

今日偶然、その方に会った時にも、
いつものように、

「元気にしてる?」

と、声をかけてきてくれました。

私は自分のことを気にしてくれる、
その方に対しては、
いつも正直に、
自分の気持ちを話しているので、
その時も私は首を横に振り、

「大変です」

と苦笑いを浮かべて返事しました。

その方は、

「相変わらず大変ねぇ」

と私に向かって言ったのですが、
なんだかそう言った彼女の方が、
表情が苦しそうに歪んで見えたので、

「そちらはどうですか?」

と私は尋ねました。

そうすると彼女は、
自分が仕事を辞めたいと思ったくらい、
辛いと感じた最近の出来事を、
私に語ってくれました。

正直私は、
彼女の話の全部に、
共感出来た訳ではなかったのですが、
彼女がとても辛かった気持ちだけは、
感じとることが出来ました。

「とても辛かったですね」

私がそう言うと、
彼女は少し唇を歪めて笑いました。

それはなんだか泣きそうな笑顔で、
私は彼女の心が以前の自分のように、
とても孤独なのだと思いました。

私も彼女も、
今の会社の社風にあまり合う人間では、
ありませんでした。

「昨日は辛くて一人でカラオケに行ったの。
あなたとも飲みに行ければいいのに」

そんな風に言ってくれたので、

「えぇ、ぜひ行きましょう」

と私は答えました。

その返事は社交辞令のような、
叶うあてのあまりない約束だったけれど、
私は実行されないそのような言葉が、
辛い心にどれだけの慰めになるか、
体験から知っていました。

私の言葉に、彼女は少し笑いました。
さっきとは違った、
少し心がこもった笑いでした。

「話を聞いてくれてありがとう」

別れ際に、彼女が私に言いました。

私は彼女のその言葉で、
とても幸せな気持ちになりました。

こちらこそ、話してくれてありがとう。

自分は独りぼっちだと思っても、
声をかけて、
気にかけてくれる人がいる幸せ。

自分が体験しているからこそ、
大変な時でも相手にしてあげられること。

それを私も、
してあげられる相手がいるということ。

少し、大げさかもしれないけれど。

生きていて良かったな、
なんて感じた出来事でした。