発達障害(ASD)グレーゾーン

職場で受けた嫌がらせに対して堂々と振るまった結果

「自分は他の人より劣っている訳ではない」

3回目の、
発達障害専門カウンセリングを受けて、
私が強く思ったことでした。

定型発達者同士だって、
人間関係で揉めるのだから、
人とイザコザがあった時に

「発達障害グレーゾーンの自分が悪い」

という考え方は間違っている

そのカウンセラーの言葉は、
単純で本当に当たり前で、
その言葉を聞いた時に、

「なぜ今まで自分で気付かなかったのだろう」

と自分で不思議に思うほどでした。

そして、その言葉を、
当たり前だと受け入れた私は、
職場で自分に、
不当な態度を取る部下に対して、

「私が卑屈になる理由はないのだから、
堂々としていよう」

と思い、そのような態度を、
心掛けるようになりました。

まず、今まで彼女が、
私に書類を持ってくると、
無言で書類を私の机に置く彼女に対して、
私はいちいち、
言葉をかけたり頷くといった態度をとり、

  • 自分が相手に対して敵意がないこと
  • 友好関係を築きたいと思っていること

を分って貰おうとしていたのですが、
そういった、
相手に媚びへつらうような態度は辞めました。

相手が無言で書類を置くのだから、
私も無言で構わない

そう思う事で自分の気持ちを強くして、
彼女が書類を置きに来ても一切無言で、
彼女に対して視線さえ、
げることはしなくなりました。

ただ、無視するという事は、
私の性格上出来ないので、
私は自分が机に座っている間、
前以上に一心不乱に仕事に没頭することで、
彼女に対して注意を払わないようにしました。

そして、うちの営業所は当番制で、
お茶などを飲んだカップを、
業務終了前に洗うのですが、
私がこの営業所に転勤してきてから9か月間、
1度も、
彼女は私のカップを洗う事はしませんでした。


皆んなのカップは洗うのに、
私のカップだけ洗わないという、
彼女の仕打ちは、
地味なだけに私を惨めな気持ちにさせて、
私が卑屈になる気持ちを助長しました。

そのため、私は彼女が当番の時には、
彼女より後に自分のカップを洗うと
布巾が全部濡れていて、
使えなかったこともあった為、
先に自分のカップを洗うといった
自衛手段をとっていたのですが、
そんなことをするのも辞めることにしました。

こんな地味な嫌がらせは、
当事者以外には気付かないものです。

だから私はまず、
別なことで課長と面談があった時に、
彼女が私のカップだけ、
洗わないことを話しました。

やはり課長は、
そんなことが事務所でされているとは
気付いていなかったようでした。

私がこんな事を課長に話すのには
かなりな勇気が必要でした。

苛めを受けている子供の心境と同じです。

自分がそんな対象だという現実を
受け入れるのが辛いのです。

そして課長とその部下とは、
かなり仲が良かったため
私がその事を課長に伝えた事を、
彼女が知ったら、
彼女からの嫌がらせが酷くなるのではないか、
という懸念もありました。

苛めを担任の先生に告白するのに
勇気が要るのと同じです。

自分が取った行動が、
現実を改善するという保証はないのです。

でも、私は課長に伝えました。
ただ伝えるだけでなく、
この状況に甘んじることも
合わせて伝えました。

私は彼女が私のカップだけを洗わない、その状況は受け入れます。
彼女と争いたくはないからです。
でも仕事の間違いは別です。
本当に彼女と揉めるのは嫌ですが、私は彼女を指導する立場なので、
彼女が間違った仕事をしていたら、揉めたとしても私は彼女を注意します。

なぜ、こんなことを、
課長に伝えたのかといえば、
私が4月にこの営業所に転勤してくる時に、
この部下と私が揉めるのではないかと
大変心配していたと、
課長本人から聞かされていたからでした。

私の仕事に対する真面目さ頑固さは、

悪評となって

九州の支社や営業所一円に轟いていました。

そして私のカップだけ洗わない部下も、
その行動から分る通り、
その気の強さからくる扱い辛さで、
上司になる人間達を困らせていました。

課長はそんな女性同士がぶつかると、
面倒なことが起きると、
心配していたのでした。

ただ幸いなことに、
私は徒党を組むような人間ではなかったため、
女性にありがちな、
派閥同士がぶつかることはなく、
私一人が女性の輪から外れることで、
職場の平穏は保たれていました。

でも残念なことに、
彼女は仕事の間違いが多いため、
私は望まないことながら、
彼女と揉めることは多くありました。

それらを全て、私は課長に話しました。

それがどのような結果になるかは、
分りませんでしたが、
もう課長にまで話をしたのだから、
彼女がカップを洗う当番の時に、

「1人で隠れるように後からコソコソ
自分のカップを洗うような真似はやめよう」

そう心に決めていました。

そして今日、
彼女がカップを洗う当番でした。

案の定、
私のカップは集めてもらえませんでした。

私は彼女が皆んなのカップを集めて、
洗い終わって、
片づけに行ったことを確認すると、
自分の机から立ち上がり、
課長の目の前を、
自分のカップを持って通り、
給湯室まで自分のカップを洗いに行きました。

これは私の中では、

自分が惨めなことを周囲の人に知られてしまう

とても勇気の要る行為でした。

心臓はとても早い鼓動を刻み、
視線はビクビクと周囲を彷徨いそうでした。

だから私は、自分を落ち着けるために、
ただひたすら、
自分の鼓動に意識を向けていました。

鼓動に意識を向けることで、
余計な思考を取り払い、
堂々として見えることだけを、
必死で心掛けました。

カップを洗うところまでは一人でしたが、
私はカップをしまう食器棚のある部屋に、
彼女がいること、
そして他の人間がいることも、
把握していました。

とても気まずい思いをしそうで怯みましたが、

「発達障害グレーゾーンでも堂々と生きていい」

前回のセッションで、
わずかに芽生えたその気持ちを糧に、
私は勇気を出して、
その部屋のドアを開けました。

私が部屋のドアを開けると、
私以外の人間のカップを拭いていた彼女と、
他の用事でその部屋にきていた、
同じ課の人間二人が私を見ました。

私がずっと、
彼女からカップを洗って貰えていなかった、
その事実を知らない同じ課の二人は、
私が手にカップを持っているのに気付いて、
とても不思議そうでした。

それでも私が無言でいると、
私の手のカップを一瞥した彼女が、
自分から私に声をかけてきました。

「4時までに、
カゴに入れてくれたら洗いますから。
他の人はカップを集めるかもしれませんけど、
私は集めませんので」
(他の当番の人達は洗う時にカップも集めてくれます)

その言葉に、
私はつくった笑顔で答えました。

「あっ、そうなんですね。分りました。
教えてくれてありがとうございます」

自分以外の人間のカップは集めること
この営業所に転勤してきてすぐに、
彼女がカップを洗う当番だった時、
本当に私のカップを集めるのを忘れていて、
(この時はまだ彼女と揉めていなかったのです)

「あっ、洗うの忘れていました、すみません」

と言ったことは、
グッと喉の奥に押し込めました。

何度も繰り返しますが、
私は決して人と争いたい訳ではないのです。

だから彼女の言葉に注目するのではなく、
自分の悩み事が一つ減ったという、
その事実に注目することにしました。

なんだかんだと言って私は、
自分一人そんな仲間外れにされることが、
悲しくてしょうがなかったのです。

だから堂々としているように心がけないと、
堂々となど出来なかったのでした。

でも私が、
4時までにカゴにカップを持って来れば。
洗うと彼女は明言したのです。

私はかえって、
他の人間がいてくれたことが、
功を奏したのではないか、と思いました。

その状況で私のカップを無視することを、
嫌がらせでないと言うには、
幾分無理があるように思えるからです。

堂々としようと心掛けて、
他の人間がいても部屋に入ることが出来て、
本当に良かったと思いました。

勇気を出して堂々と振舞ったことで、
私の職場環境の、
本当に嬉しい改善報告を、
することが出来ました。