職場を退職してから、約9ヶ月が経過しました。
最初の頃は身体が動かなくて、
寝込んでいることも多かったのですが。
少しずつ、動ける時間が増えてくるにつれ。
ASDだとバレないように、
社会に合わせて無理して頑張ってきた自分から。
(でもASDの特性が隠せていたかは、また別の話)
社会からは、はみ出してしまっても、
自分のことが好きだった自分に戻るために。
自分が「やりたい!!」と思ったことを、
無理のない範囲で、
行うようにしていました。
人物のデッサン会への参加もその1つで。
月に2回行われる、そのデッサン会は、
主催の方が、
利益無しで開催されている良心的なもので、
7月から4ヶ月の間、
その会に皆勤賞で参加させてもらっていた私は、
その主催の方が、
優しくて穏やかな性格であることも相まって、
このデッサン会が大好きで、
こんなデッサン会を開催してくれる主催の方に、
とても感謝を感じていて、
少しでも、
この主催の方のお役に立ちたいと考えていました。
そのため。
この主催の方が、
12月の1回目のデッサン会の日に、
用事があって来れないため、
場所の予約やモデルの手配は、
あらかじめ自分がやっておくから、
誰か来れる方が、
当日にしか出来ない、
必要経費の割り勘等の雑務を、
自分の代わり行って欲しい、と言われた時。
このデッサン会は当日の飛び入り参加OKで、参加した人数で必要経費を割り勘にしてその場で集めているため、事前に個人負担額を算出することが出来ません。
古参の方が誰も来れると手を上げなかったため、
この会では新参者で、
まだ、会が行われる建物の名前も、
よく覚えていなかった私が、
「私でよければ、やらせていただきます」
と名乗りを上げ、
12月最初のデッサン会を任されたのでした。
新しい事に飛び込む時に、
激しい心配が伴うASDの私は、
事前に主催の方から会の行われる会場の金額と、
空調を使用した場合の金額を確認したものの、
まだ少し、
ちゃんと出来るか不安を抱えていたのですが。
主催の方が、
「いつもと同じだから大丈夫ですよ」
と仰ってくださり、
また、当日の朝は、
主催の方はデッサン会には参加出来ないけれど、
会場に持ち込むものがあるので、
自分の用事に行く前に、
会場に立ち寄ると言われていたため、
「当日の朝、早く会場に行けば、主催の方に最終確認が出来る」
と安心し、
当日を迎えたところ。
私が雑務を引き受けたデッサン会の当日は、
あらゆるものが事前の話と違っていました。
- デッサン会会場
いつもの会議室ではなく和室へ変更 - 開催時間
いつもの10時ー12時から10時-15時30分へ変更
※会場変更も時間延長も、私が4ヶ月間このデッサン会に参加して、初めてのことでした。
ちなみに私がこの変更を知ったのは、
デッサン会の建物に到着し、
いつもデッサン会を行っている会議室が、
他の団体に使用されており、
不審に思って建物の入り口付近に掲示されている、
本日の会議室使用予定表
と書かれた掲示板を確認した時でした。
何もいつもと同じじゃないですけれど?!
心の中でかなり焦った私でしたが、
(この日の午後、私は予定があり午後まで会に参加することは出来ませんでした)
当日の朝に来ると言っていた、
主催の方に確認すればいいだろうと思い、
いつもの場所から変更された、
デッサン会の会場である和室で、
ひたすら主催の方を待ちました。
が!
主催の方が開始15分前になっても来ない!!
心の中では最大限に焦りながらも、
時間を無駄にしないよう、
今の自分に出来ることをしようと、
自分がデッサンを描く用意を行っていたところ、
1人の女性が椅子を持って部屋に入って来られました。
デッサンのモデルさんだろうか、描く側の人だろうか?
飛び入り参加OKのこのデッサン会で、
しかも新参者の私には、
この女性がどちら側の人間か分かりませんでしたが、
もう、主催の方が、
この会場に現れないことだけは分かりました。
私は急いでこの建物の管理人さんの部屋に行くと、
いつもの会場と場所が違っていたため、
私が事前に主催の方から聞いていた、
会議室と空調機の使用料と変更があるかもと思い、
金額の確認を行いました。
そして、会場の和室に戻ると、
椅子を持って入ってこられた女性が、
肩掛けなどを羽織られたため、
この方が、
今日のデッサン会のモデルだということが分かり。
また、開始時間前になって、
古参の方が1人来られ、
その方が、
なぜ今日に限って、
時間が延長になっているかを教えてくれ。
私が参加出来なかった前回のデッサン会で、急きょ午前中はデッサン、午後はクロッキーを実施することに決まったようでした。建物の管理人さんには知り得ない情報であり、何回か主催の方に連絡したけれど返事がなかったため、この情報は大変助かりました。
じゃあ、午前と午後で会場利用料を分ければいいのか、
と考えたところ、
私はふと、ある疑問が浮かびました。
会場利用料は使用者皆んなによる割り勘です。
午前中のデッサン会は10時から12時です。
午後のクロッキー会は13時30分から15時です。
誰も利用しない、
12時から13時30分の利用料は、
誰が負担するのでしょう?
きっとね、
ここで私、知らないフリも出来たと思うのです。
主催の方に頼まれた雑務(必要経費の割り勘)は、
10時から12時までの間のデッサン会のみで、
午後からのクロッキー会の話なんて聞いてないから、
事前に主催の方から聞いていた、
会場利用料と空調機使用料で計算すればいいや、って。
管理人さんに確認したところ、和室の利用料も空調機の使用料も、事前に主催の方から聞いていた、いつもの金額と変更ありませんでした。
でも、でもね。
自分で気付いた疑問に知らないフリが出来るなら、
生きづらいASDの人生など歩んでいません。
(拘りの強い自分の性分に付き合うのは自分でも大変)
しかも、私は。
いつもお世話になっている主催の方の役に立ちたくて、
少しでも感謝の気持ちを返したくて、
この役目を引き受けたのです。
私が知らないフリをすることで、
主催の方が誰も利用しない間の利用料を、
1人で負担することが無いように公平にしなければ!
そう、決心したものの。
自分の計算が大変になるし、
負担増になることを午前中に参加した皆さんには、
嫌がられるかもしれないと、
怯んでしまった自分の心を。
仕事をしていた時は、
百人単位が参加するイベントの、
実務を行っていたんだから、
これ位のイレギュラーも対応出来る!!
そう自分に言い聞かせ、
自分の心を鼓舞すると。
私になぜ、今日のデッサン会が、
いつもと違う時間帯なのか教えてくれた古参の方に、
12時から13時30分までの、
会場利用料負担の件を勇気を出して相談し、
「あなたに任せるわ」
の返答を受け取った私は、
午前中のデッサン会参加者が、
12時から13時30分までの会場利用料の、
半分の金額を負担するよう、
1時間単位の会場利用料を分単位で計算し直して、
割り勘の金額を計算し。
さらに、デッサン会に参加した人達が、
快適にデッサン出来るようにと、
部屋の空調にも気を配り。
寒いから暖房を入れて欲しいとの要望により、
管理人さんと調整し、
エアコンのリモコンの貸し出しを受けて、
暖房の温度は22度まででお願いします。
との注意事項を守り、
和室のエアコンを22度設定で稼働させて、
安心していたのですが。
ここで、突発事項に弱いASDの、
ポンコツ行動1が発動しました。
しばらくしてから、古参の方の、
「部屋が寒いんだけど暖房入ってる?」
の言葉に、
「温度の上限が22度までなんですよー」
と言って、
リモコンの設定温度を確認したところ。
22度、には間違いなかったのですが、
暖房ではなく冷房の22度になってました……
そのことを古参の方に謝罪すると、
古参の方は笑って私を責めることもなく、
でも、
「私が持っておくわね」
と、私の手から、
優雅な手つきでリモコンを受け取られました……
そして、その後。
昼近くになって、今度は部屋が暑くなってきたため。
使用料がかかるからと、
暖房を止めて、
エアコンのリモコンを返却することになった時、
(空調機の使用料も、使用した1時間単位での請求)
私のポンコツ行動2が発動しました。
エアコンのリモコンは古参の方が持っていたため、
古参の方は、
リモコンの電源ボタンを1回押した後、
管理人からリモコンを借りてきた私が、
返却に行けるよう、
私にリモコンを渡してくださったのですが。
私はリモコンを受け取ると、
電源ボタンをもう2回押したのです。
なぜなら。
その和室は18畳ほどの広さで、
エアコンが3台設置されていたため、
エアコンが3台あるなら、
電源ボタンも3回押さないと、
エアコンが消えないと思ったから。
このタイプのリモコンだったら、冷房になっていたのに私が気付かなかったことにも、共感していただけるでしょうか?
でも、そんな私を、
古参の方は不思議そうな顔でみて、
こう言いました。
「何でまた、電源を入れようとするの?」
その言葉に、
今度は私の方がきょとんとして、
古参の方の顔を見てしまいました。
だって。
私には全く思いつかなかったのです。
近くに設置されている同じエアコンなら、
1つのリモコンで1回電源ボタンを押せば、
3台ともに電波が届くということに。
古参の方は、そのことが分かっていて、
1回しか電源ボタンを押さなかったと分かって、
私はエアコンの電源さえ、
まともにオンオフ出来ない自分に、
哀しくなってしまいました。
そんな私に、古参の方はやはり笑顔で、
こう語りかけてこられました。
「あなたはしっかりしているのかと思ったけど……」
その言葉を最後まで聴きたくなくて、
私は少し恨めしげに、
古参の方の言葉に被せて言いました。
「私は自分がしっかりしているなどと、言ったことは無いですよ?……」
すると古参の方は、
そんな私に、
やはり笑ってこう答えられました。
「私も自分で自分のことを、
しっかりしてると言ってる人に会ったことはないわ」
……ソレモソウデスネ。
古参の方のその言葉に、
確かに、
"しっかりしている、していない"なんてものは、
自己申告制ではないなと納得しつつ、
他人の評価だからこそ心にくるものがあるなぁと、
悲しい笑顔を古参の方へ向けたのでした。
その後も。
モデルさんの負担があまりかからないよう、
15分ポーズを取ってもらったら、
5分休憩を取るというルーティンで、
デッサンを行っていたのですが。
その時間を測る、
タイマー係も担当していた私が、
5分休憩でかけていたタイマーが動いておらず、
休憩時間を超過するといった、
ポンコツ行動3も発動してしまい。
本来の自分はこんなにポンコツなら、
仕事をしていた時に、
会社の一大イベント開催の実務をこなしていた私は、
本当に頑張っていたんだな、
そりゃあ心身共に壊れるわな、と、
今の自分の状況に妙に納得し。
自分のダメさ加減に打ちひしがれながら、
午前中のデッサン会を終了し、
後片付けに入ろうとしていたら、
なぜか3台のエアコンのうち1台だけ、
暖房が切れていなかったという、
ポンコツ行動4に気づき、
管理人さんに返却したリモコンをもう1度借りに行き。
(エアコンが切れていないことに気付かない程テンパっていた私)
帰り支度を整えて、
今日ダメダメだった自分を支えてくれた古参の方に、
謝罪とお礼の言葉を伝えると。
古参の方はやっぱり笑顔で、
そんな私のダメダメぶりを、
「楽しかったわ」
と言ってくれたので、
私の心は大分救われたのだけれど。
帰りに脳内で今日の反省会をしていた時に、
会場利用料の分単位計算の誤りにより、
午前中の必要経費の精算金額が、
約18円不足していたという、
自分のポンコツ行動5に気付いた私は。
次に主催の方に会った時に、
その話をして、
不足分を渡さなくっちゃと思うと共に、
たった2時間の間に、
これだけのポンコツ行動を起こしてしまった自分に、
やっぱり悲しくなったのでした……

(結局、その日だけでは描き終わらなくて後日描き込みを行いました)
