回想録

世界から孤立していた私の話23〜意を決して行った部下の父親へのメッセージ送信

前回からの続きになります)

Sに対して、
かなり配慮をしながら行った、
業務についての真っ当な指導でも、
Sを涙ぐませてしまったことで、
Sと関わることの難しさを感じた私は、
その件について、
パワハラ相談員に報告した際に、
パワハラ相談員から私がSに行った指導を、
パワハラだと非難された場合、
それは不当な言いがかりであるため、
課長とSの間に入る役目を、
降りようと思っていたのですが、
パワハラ相談員から言われた言葉は、

「課長のことがあって心が弱っていたのでしょう。
来週も今まで通りの対応でやっていきましょう」

だったため、
気持ちを新たに、また、
Sを課長から守っていこう、
と考えていた私のスマホに、

「具合が悪くて出勤できません」

とSから連絡が入ったのは、
Sを涙ぐませた翌週の月曜日の朝、
私が出勤のため、
家を出ようとしていた時のことでした。

その連絡を受けた私は、
以前、具合が悪くて病院に行けないと言ったSを、
私が付き添って、
自分の車で病院に送迎したことがあったため、

「今回も私が病院に連れて行かなければ!」

と、

その日の仕事のスケジュールを調整していたところ、
Sから体調不良の連絡を受けたSのお父様が、
実家から車でSのアパートまで来て、
Sを病院に連れて行くとSから連絡を受けたため、
私はとりあえず、
自分の業務に専念することにしました。

ただ、その後、
他県に住んでいるSのお父様から、
職場の近くで信頼出来る病院を教えて欲しいと、
S経由で連絡を受けたため、
私は支社に勤める色んな人に聞き込みをし、
評判の良かった病院を、
いくつかSのお父様にお伝えしました。

その後、
Sの病気は心因性のものと診断され、
Sはそのまま、休職に入ることとなりました。

Sは休職の手続きを、
自分で行える状態では無かったため、
Sのお父様が支社に来て、
休職に関する話し合いや手続きを行ったのですが、
私はその時の支社の対応に、
大変な不信感を抱いていました。

なぜなら、支社長が、

Sの休職に関する対応を、
Sの病気発症の原因である、
Sにパワハラ加害を行っていた、
課長に一任した

からでした。

そのため、
当初はSの体調不良による休暇の連絡や、
Sの休職の手続きについての話し合いなど、
Sのお父様からの連絡を私が受け、
Sのお父様と私と課長で行っていましたが、
対応が課長に一任されてしまったため、
Sの休職期間が長引くにつれ、
課長から疎まれていた私は次第に、
Sの休職についての話し合いから、
外されていくようになりました。​

この当初の話し合いの席を設ける際、私は人事部や支社長にも連絡をしましたが、人事部も支社長もSのお父様との話し合いの席に着くことはなく、なぜかSが病気を発症する原因となったパワハラ加害者である課長に全権を任せた為、私はSのお父様と、課長抜きで直接お話しすることが出来ず、Sの状況をお父様に知らせるのは、Sのお父様を会議室に案内する際にコソッと「課長がSにパワハラをしていたことを知っていますか?」と尋ね、頷いてもらうことが精一杯でした。

社員100名程の、
中規模な支社だったたことと、
入社2年目で、
Sがあまり人と交流しない性格だったことから、
Sの休職は、
他部署の人達には殆ど知られておらず、
そのため課長の言動からは、
Sが休職に入ったことを隠し通したい思惑が、
透けて見えていました。

この課長の思惑に気付いていた人は、
部署の中に、
私以外にも数人存在しており、
課長の自分の罪を隠そうとする浅ましさに、
冷たい視線を向ける人もいましたが、
課長の思惑に同調する人間も存在していました。

それが、私と同じ役職に就いていた、
課長補佐Bでした。

課長が課長補佐Bと、
事務所で話している内容が聞こえてきたため、
私は知ることが出来たのですが、
休職に入ったSは順調に回復しており、
休職3か月経過後は復職訓練を行っていいと、
医師から言われているようでした。

ただ、復職の際には、

休職前に行っていた業務aではなく、
その前に行っていた業務bに就かせるのが望ましい

という注釈がついているようでした。

実はSが私のチームに異動してきたのは、
2024年3月のことで、
それ以前のSは、
課長補佐Bのチームに所属していました。

同じ部署のチームと言っても、
私のチームと課長補佐Bのチームは、
受け持っているプロジェクトの煩雑さと複雑さ、
業務量が格段に相違していて、
私のチーム(業務a)は毎日残業ばかりだけれど、
課長補佐Bのチーム(業務b)は繁忙期以外、
殆ど定時で帰れる業務を受け持っていました。

復職の際に激務な部署は禁物、
ということなのだろうと思って、
2人の話をコッソリ聞いていたのですが、
課長補佐Bから衝撃的な発言が飛び出しました。

うちのチームの人間は、鹿島(私)のチームは仕事が多くて大変だから、Sの代わりに行きたいという人間がいないため、Sに任せる仕事がない。
だから、うちのチームにSを所属させるなら、机もないから誰かの隣に椅子を置いて、その人のサポートをさせるだけになる。
でもSを他所の部署に異動させるとそこに迷惑がかかるから、何とかうちの部署の中で復職させるのがいいでしょう。

課長補佐Bは、
Sから課長のパワハラ加害の相談を受けており、
Sを守る発言をしていた人物でもありました。

そしてSが、課長を苦手に感じたキッカケが、

課長補佐(私のこと)への言動がキツく怖かった

ことだということも聞いていたのです。

そして、Sが休職に入ったことで、
自分の行ったパワハラ加害が大事になり、
ストレスが溜まりやすくなっていた課長の、
私への当たりのキツさは、
この時点で激しさを増しており、

私が他の社員の前で、
課長から怒鳴りつけられることが、
たびたび起きていました。

課長が私を怒鳴りつけるようになったのは、
Sが休職に入ってからだったため、
Sが怖いと言っていた、
Sの知っている当初の課長の私への言動は、
物言いがキツい程度のものでした。

それで、怖がっていたSが。

復職して、
業務bの、しかもサポートに就くのなら、
仕事量は大丈夫かもしれないけれど。

私と課長補佐Bのチームは、
同じ部署に所属していて、
仕切りの無い同じ事務所の中で働いているのに。

課長の前で怒鳴られている私を、
Sが目の当たりにすることで、
Sの病状悪化の可能性があることが、
どうして想像出来ない?

課長から、
Sの復職についての意見を求められておらず、
課長と課長補佐Bの会話を盗み聞きした立場の私は、
自分のパワハラ加害でSが休職したことを、
広めたく無い課長が、
課長補佐Bの、

「何とかうちの部署の中で復職させるのがいいでしょう」

の言葉に飛びついて、
我が意を得たりとばかりに、

「かなり悩まれているようで、
まだ返事をもらって無いのですが、
Sの父親からSに対して、
うちの部署で復職したいか、
他所の部署で復職したいか訊いているので、
うちで復職したいと言ったらBさんのところで、
面倒を見てもらえますか」

と課長補佐Bに話しているのを聞いて、
私は、

このままではダメだ

と思いました。

まず、復職の所属部署の希望を、
病気発症の原因である課長に、
確認させる、うちの支社がそもそもおかしい。

例えSの意思を確認して伝えるのが、
S本人ではなくSのお父様だったとしても、
復職後は同じ支社で働くのだから、
「あなた(課長)のいる部署には戻りたくない」と、
課長本人に言い辛いこと位分かるだろう。

まして、
自分のパワハラ加害を隠蔽したい課長が、
復職についての調整を行っているのだから。

課長はSが課長の部署に戻ってもいいと思うような、
良い事ばかり言うだろうし、
Sの側からしてみれば、
パワハラ加害者本人からそんなことを言われたとしても、
信用ならないと思って決断を悩むだろう。

私は復職に際し、
戻る部署の決断を迫られたSが、
課長の耳障りの良い言葉を鵜呑みにして、
課長のいる部署で復職した結果、
同じ事務所の中で課長に怒鳴られている私を見て、
それに恐怖を感じたSが体調を悪くし、
また、休職に入ることを危惧しました。

短期間で2度も休職してしまったら、
心が折れて、
もう復職出来なくなるかもしれない。

それは、あまりに可哀想だ。

そう考えた私は、
以前、教えてもらっていた、
Sのお父様の電話番号に、
こっそりショートメッセージを送りました。

復職する部署で悩まれていると聞きました。
部署を決定する際のご参考になればと思い、課長の私へのパワハラ加害はまだ続いていることを、お伝えします。
私がお伝えしたことは、口外されないようお願いします。

口外しないように伝えたのは、
Sが他所の部署での復職を希望した際に、
私が課長のパワハラ加害がまだ続いていることを、
Sのお父様に伝えたことを知ったら、
自分達の思惑と違う結果を引き起こした私に対し、
課長は勿論のこと課長補佐Bまでもが、
私に対し、
キツい言動を取ってくることが予想されたからでした。

そして、案の定。

私がショートメッセージをSのお父様に送った翌日には、
Sのお父様から課長に対して、

「Sは他所の部署での復職を希望しています」

との連絡が入ることとなり。

その知らせを課長から聞かされた課長補佐Bは、
Sへの心証を損ねてしまったのでした…

世界から孤立していた私の話24〜いつの間にかパワハラ被害者から加害者へ変わっていた私に続きます。