回想録

世界から孤立していた私の話9〜大変だったコロナ禍での面会調整

前回からの続きになります)

娘の活躍のお陰で、
兄が少しだけでも、
母の容態を気にかける様子を見せたため、
少しだけ、留意を下げた私は。

コロナ禍真っ最中で、
県を跨ぐ移動も控えるよう、
国から言われていた時期だったため、
病院から渡された入院のパンフレットにも、

「県外の人の面会は出来ません」

と書かれていたのですが、
母の入院を聞いて真っ先に、
県外に住んでいる娘が、
母のお見舞いに行きたいと言ってくれたため、
何とか、
その気持ちを汲んあげられないかと、
病院に相談したところ、
面会を希望する人(娘)から、
直接連絡して欲しいと言われ、
その時に、
病院から教えてもらった、

会わなくてもお見舞いが出来る方法

を、
娘だけではなく、
兄にも教えてあげることにしました。

その、教えてもらった、
会わなくてもお見舞いが出来る方法、とは。

病院が用意している、
お見舞い用のメールフォームに入力して送信し、
病院が届いたメールを印刷して、
入院している患者さんに渡してくれる、
というもの。

病院の診察を受けて、
そのまま、
入院することになってしまった母は、
色々、
やり残していた家のことが、
気になっているのではないかと思い、
私は、このお見舞い方法を、
病院から教えてもらってすぐ、
母に、

「やり残してあった家のことは、
私がやっておいたから大丈夫だよ」

と、
母が確認出来るように、
やり終わった後の写真まで添付して、
母にお見舞いメールを送りました。

仏壇の花や、神棚のお水やお酒を毎週替えていることや、暖かくなってきたので母の家のコタツを片付けたことなど、母が気にするようなことはその都度、メールで報告していました。

娘もお見舞いメールの存在を知ってすぐに、
なぜか入力エラーになると言って、
何度も苦労しながら、
母に孫(母にとってはひ孫)2人の写真を添付して、
メールを送ったと教えてもらいました。
(その後も何回か、メールを送ったようでした)

そして兄は、
いつ送ったのかは知りませんが、
自分の1人息子の写真を、
1回は母にお見舞いメールで送ったと、
随分後に知りました。

母のことを、
とても大切に思ってくれている娘は、
母との面会にも積極的に動いてくれて、
母が入院して1週間後には、
病院と面会の調整をつけたと、
私に連絡してきてくれました。

ただ、やはりコロナ禍が影響していて、
入院患者との面会は平日のみで、
専用の面会室でガラス越しに行われること、
一度に面会室に入れるのは3名迄であること、
高校生以下は面会室に入れないこと等を、
病院側から言われたと教えてくれ、

「旦那とユウ(上の孫)とナナ(下の孫)と、
一緒におばあちゃんの面会に行こうと思ってたけど、
ユウとナナを旦那に預けて、
私が1人で面会するしかないよねぇ」

と、
娘はとても残念そうに言いました。

その、残念な気持ちは、
私にもよく、理解出来ました。

この時、上の孫は3歳で、
下の孫は1歳という、
とても可愛い盛りで、
入院生活を頑張っている母に面会に行って、
一番喜ばれるのは、
きっとこの、
孫2人だと思ったからでした。

しかも、孫2人だけでなく。

娘の旦那様も一緒という、
娘の家族総出でお見舞いに来てくれたなら、
母は自分が大切にされていると感じて、
とても喜ぶであろうことは、
容易に想像することが出来ました。

そのため、私は意を決して、
娘にこう、伝えました。

「あなたとあなたの旦那様が、
おばあちゃんと面会している間、
ユウちゃんとナナちゃんの面倒は私がみるよ」

それは言外に、
娘家族が母と面会するために、
私が仕事を休むと言っているのと、
同じ事だったため、
私が母の入院で仕事を休んだ後、
昼休みも休めないくらい、
多忙だったことを知っている娘は、
最初は遠慮していましたが、

「私も孫たちに会いたいから」

という言葉を伝えると、
私に甘えて、
孫2人を預けてくれることになりました。

娘は自分の面会の調整が終わってすぐ、
面会の調整の要領を、
やはり県外に住んでいる、
兄に伝えたそうなのですが、
この時までに、
兄が病院と、
母との面会の調整をすることは、
ありませんでした。

それなのに不思議だったのは、
兄の私に対する連絡で、
兄は母との面会の調整はしないのに、
いっこうに、
母の入院費用の請求をしない私に対し、​

お金を渡したいから日曜日に会えませんか?
土曜の夜に実家に泊まりたいので、家の鍵を借りることは出来るでしょうか?

と、
ショートメッセージを送ってきました。
(実家の鍵は母が入院する以前から、
何かあった時のために、
母から私に預けられていました)

私は毎週土曜日の夜、
実家の維持管理のために、
実家に宿泊していましたが、
たまたま兄が指定してきた日曜日は、
午前中、自分の通院の予約が入っていて、
(日曜日に診察してくれる、稀有な病院でした)
ちょうど実家に泊まれない土曜日だったことと、
日曜日の午後は、
病院から真っ直ぐ、
絵画教室に行くことになっていたことから、
次の3点を兄に伝えました。

  • 車で実家から1時間強かかる私の家まで鍵を取りに来てくれて、また帰る時に鍵を返しにきてくれるなら、兄が実家に泊まるのは可能なこと
    (鍵をそのまま兄に渡しっぱなしにしたら、毎週行っている家の維持管理が出来なくなるため、私の代わりに兄が実家の維持管理を実施しないのなら、鍵の返却は必須)
  • 日曜は午前中に病院に通い、午後から用事があるため、私が兄と会うのは難しいこと
  • お金の件は急いでいないので、どうせこちらに帰ってくるのだったら、平日に休みをとって母の面会をしたらどうか、ということ
    (兄が面会をするのなら、同じ日に私も仕事の休みを調整して、一緒に母に面会し、その後に母の入院費用の話を含め、私と話し合うことを提案)

兄のお嫁さんは、
兄と結婚してから実家に泊まったのは、
結婚当初の1、2回のみで、
お正月も、
兄がいつも1人で実家に帰ってきて、
後から新幹線で、
お嫁さんと息子は一緒にやってきて、
数時間、実家に滞在したら、
すぐに自宅に帰ってしまっていたため、
今回の、
兄の私に会いにきたいという申し出も、
私から兄に対する母への面会の提案も、
どちらも、
動くのは兄1人だけだと分かっていたため。

娘家族が母と面会する時には、
私も仕事を休むけれど、
母と面会することは出来ないと分かっていた私は、
どうせ別な日に、
母と面会をしたいと思っていて、
平日休みを取ろうと思っていたことと。

悲しいけれど、
やはり私より兄を大切に思っている母のところに、
私だけで面会に行くよりも、
全く母との面会を実施しようとしない、
兄を一緒に連れて行く方が、
母が喜んでくれるだろうと思い。

病院からは、
面会を希望する人が、
面会の連絡をするように言われていたため、
母と兄の面会を実現させるためには、
兄自身に動いてもらわなければ、
いけなかったけれど、
兄と私が一緒に母に面会をするならば、
私が母と兄の面会のお膳立てをしても、
大丈夫だと思い、
これなら、
自分で動かない兄の母との面会が叶うと、
そう提案したのでした。

兄は私からの、この提案を呑み、
その後、なんと自分で、
病院に面会の連絡をしてくれました。

兄が母との面会を実施することになったのは、
7月中旬のことで。

母が入院した5月末の時点では、2、3ヶ月の入院と言われていましたが、母の治療は6月で終わり、その後はリハビリに励んでいたものの、7月の時点ではまだ、退院の目処は立っていませんでした。

私は兄が母との面会を行う日に、
合わせて仕事の休みを取ったのですが、
面会日の10日前になって、
兄が私も一緒に母に面会をすると、
病院に連絡していないことを知り。

慌てて病院に連絡したところ、

「県外の方と県内の方が一緒に面会することは、許可していない」

と言われてしまい。
(私は母と、母が入院した病院と、
同じ県に住んでおり、
兄は他県に住んでいました)

結局、私は、
兄が母と面会する日は、
兄と話し合う約束をしていたので病院には行くものの、
平日にしか会えない、
病院で母の担当をしているケースワーカーさんと、
今後の話をするだけに留め、
面会室には入らないこととなり。

母と面会するために、
また別の日の平日に、
仕事の休みを取らなければならくなったのでした…

世界から孤立していた私の話10〜勘違いしてしまった母との面会に続きます。