回想録

私の良い人の基準がおかしい理由

お酒を飲む男性

土曜日の夜に突然、
娘が孫を連れて、
私の家に泊まりにやってきました。

理由を聞くと、
配偶者とケンカして、
家出してきた、
ということでした。

娘が配偶者の言動が酷いと、
私に色々話してくれるのですが、
私はあまり、娘の話に、
賛同することが出来ませんでした。

なぜなら子供の頃から、
両親の、
物を壊して暴れる夫婦ゲンカを、
見続けて、
大人になって結婚した相手からは、
首を絞められたり、
包丁を向けられたりした私には、
ケンカになった時に、

男の人が暴力を振るわないだけで、
「良い人」という評価になってしまう

からです。

娘には、そんな私の基準がおかしいと、
言われてしまいましたが、
私にとって、
ケンカした時に、
暴力を振るわれないということは、
娘の配偶者が、
娘を大切にしている証に、
見えてしまうのです。

娘に自分の体験を交えて、
そんな話をしたら、
娘からは、

「お母さんの周りには、
ヤベーヤツしかいなかったの?」

と言われてしまいました。

「そうだね、
あなたのお父さんは、
保護観察がついていた人だったし、
あなたのおじいちゃんは、
多分発達障害で、
気に入らないことがあると、
すぐに暴れていたからね」

と私が言うと、
娘から衝撃的な一言が飛び出しました。

「おじいちゃんが暴れていたのは、
発達障害のせいだけじゃなくて、
アル中だったからだよ」

この言葉に、
私はビックリしてしまいました。

「えっ!?
おじいちゃんってアル中だったの??」

私が驚いたことに、
娘も驚いたようでした。

「そうだよ、
アルコールを取り上げられて暴れるのは、
治療が必要なレベルのアルコール依存症だよ」

娘の発言は、私にとって、
考えてもみなかったことでした。

なぜなら私が幼い頃から、
私の父は気にくわないことがあると、
アルコールを飲んでいる、
飲んでいないに関わらずに暴れていた
ため、
父の暴れる理由に、
アルコールに対する依存があることなど、
考えてもみなかったのです。

しかし、言われてみれば。

私が子供の頃の父は、
毎日晩酌をしていたものの、
次の日にアルコールが理由で、
父が仕事を休むことは、
あまりなかったように思うのですが、
私の娘の頃になると、
どんどん父の生活態度は酷くなってきて、
夜にたくさんアルコールを飲むと、
次の日は具合が悪いと言って、
しょっちゅう仕事を休むようになり、
具合が悪いと言って休んでいるくせに、
また昼間から、
アルコールを飲んでいたのでした。

そんな頃の父(娘からみたらおじいちゃん)
しか知らなかったら、
確かに父は発達障害というよりは、
アルコール依存症だと思うでしょう。

全日本断酒連盟の、
ホームページに書かれている、
アルコール依存症本人のプロフィール、
という欄に書かれた、
アルコール依存症者の言葉と同じものを、
私の父も確かに言っていました。

「俺の金だ、飲んで何が悪い」

「俺が悪いんじゃない、アイツが悪いんだ」

「酒で死ぬんだったら本望だ」

ただ、これは、
父から受けていた行為の違いからだと、
思うのですが、
私の母は晩年の父に対して、

「お酒さえ辞めてくれれば」

と思っていたようですが、
私は父がお酒を辞めたとしても、
良い人間に変わるとは、
思っていませんでした。

私が父から受けた、
マルトリートメント(不適切な養育)は、
むしろ、
父が素面の時に行われることが多かった
からです。

詳しく知りたい方は、こちらのページの目次から『私の成育歴』をクリックして、【マルトリートメントと私.幼少期編】をご覧ください。

自分の娘や母親にはさすがに、
父親から受けた、
この行為のこのとは話していないので、
2人が父の言動が酷かった理由を、
アルコールのせいだと思うことに、
口を出すつもりはありません。

確かに晩年の父は、
アルコール依存症だったのだ、
とも思います。

でも、そんな家庭環境で育っていると。

普通の基準は、
分からなくなるものですね。

けれど。

配偶者の暴力に怯えずに、
自分の言いたいことを配偶者に言えて。

ケンカして、
自分から実家に家出してきたのに、
家に帰る時には、
配偶者に車で迎えに来てもらっている、
娘をみたら。

これが普通の家庭の、
夫婦喧嘩なのかもしれない、
と感じたのでした。