6月の中旬に、
無事引越しを終わらせた私だったのですが。
うつ病により、
身体が思うように動かないことは分かっていたため、
なるべく早くから、
荷物の梱包作業に取り掛かるつもりで、
引越し業者さんは3月末には決めていました。
引越し業者さんは、
決定したら無料で、
荷物梱包用のダンボールを下さるため、
私は3月末には、
業者さんからダンボールを貰っていたのですが。
実は5月初旬まで、
私は荷物の梱包作業を、
開始することができませんでした。
それは、
うつ病で身体が動かないこととは、
全く関係なく、
どちらかというと、
私のASDの特性に起因していました。
なぜなら、
身体の調子の良い時に、
早目に梱包しても困らないものから、
ダンボールに詰めてしまおうと考えると、
私は必ず、
ある物を目に留めてしまい。
その、ある物は、
ダンボールに詰めるには、
ちょっとした問題を抱えていて。
その問題を片付けなくては、
ある物は、
ダンボールに詰められないと考えた私は、
その問題を片付けるためには、
どうしたら良いかを考えることとなり。
自分の苦手分野が関わっているため、
有効な解決策が浮かばない私は、
しばらく悩んで、
一端、その問題を保留して、
荷物の梱包作業を諦めるという行動を、
約1ヶ月ほど繰り返していました。
それほど迄に私を悩ませていた、
ある物とは…
抱き枕の羊太郎くん!!
この子を購入したのは、
もう12年前のこと。
平成23年3月に転勤した営業所で、
長く勤務していたパートのお局様が、
会社の物品を私物化していたり、
会社のルールを守らずに業務を行うといった、
目に余る行動をとっていたにも関わらず。
男性社員達は、
注意して面倒事になるのが嫌で、
そんなお局様を放置しており。
そのお局様の後任になった私が、
ASDの特性を遺憾無く発揮して、
元の正しいやり方に業務を戻していった結果。
そのお局様の不況を買い、
そのお局様及び、
御局様におもねる職場の女性達から、
ハブられるという状況に陥り。
(ASDあるある)
酷い時は、
仕事で必要な事項さえ教えてもらえず。
でも、その状況を、
見て見ぬ振りをしていた男性社員達からは、
私が正社員で、
お局様はパートで、
私の方が立場が上なのだからと、
お局様を教育出来ない私が悪いと言われ。
誰も味方のいない状況に、
心身共に疲弊した私は、
慣れない土地で頼るものも無かったため、
自分の苦しい状況を解消する手段を、
スピリチュアルに求めていた時、
「人で無くてもいいからハグすると心が癒される」
と、その当時、
教えを乞うていたスピリチュアルの講師から言われ、
何かに救われたい一心で購入したのが、
この羊太郎くんでした。
それからずっと、
抱きながら寝ていた訳ではないけれど、
なんとなくずっと、
ベッドの側にいた子でした。
で。
そんな羊太郎くんの異変に気付いたのは、
今年の2月に、
休職に入ってからのこと。
ベッドの上に時々、
綿の小さな塊が落ちていることがあって、
「何だろう、これ?」
と思いながら、
捨ててしまっていたのですが。
ある日、
羊太郎くんの角が破けているのに気付きました。
(右の角)
(左の角)
恐るべし、12年の歳月。
布ってこんな風に、擦り切れるものなんですね…
ここから、
綿の塊が出ていると気付いてからは、
綿の塊を捨てずに取っており、
繕わなければ、とは思ってはいたのですが。
実は私は、
圧倒的に裁縫が苦手。
何しろ、針仕事に必須となる、
玉結びが出来ない。
もと洋裁員である母に教えてもらい、
何度かその教えの通り、
人差し指に糸を巻きつけ、
人差し指と親指で擦り合わせ、
糸を引いてみるものの。
母のように綺麗な玉の結び目にはならず、
輪っかになったり、
結ばれなかったり、
結ばれても小さすぎて、
布地に針を通して引っ張った時に、
布に引っ掛からずに、
布からすっぽ抜けてしまうという体たらく。
(針の太さより、私の玉結びの方が大きさが小さい為)
母に上手く玉結びが出来ない理由を聞いても、
「何でお前みたいになるか分からない」
と困惑され、
母以外の人間に聞いても、
ほぼ同じようなリアクションだったため。
(なぜ皆んな、当たり前に玉結びが出来るのだろう?)
私は自分がなぜ玉結びが出来ないのか、
分からないまま大人となり、
そのため極力、
裁縫といった手仕事に関わらないように、
50歳を過ぎる今まで過ごしてきたのでした。
でも、今回の引越しにあたり。
早目に梱包しても大丈夫なものから箱詰めしよう
↓
羊太郎くんも詰めていいな
↓
羊太郎くんの角を修繕しなきゃ詰められないな
↓
羊太郎くんの角はどうやって修繕すればいいんだろう?
(最初に戻る)
ということを繰り返し、
全く梱包作業が進まなくなっていたのでした。
で、結局。
1ヶ月程の時間を掛け、
頭の中で修繕のシミュレーションを繰り返し。
自分の今の技量で出来る、
1番最善の修繕方法を模索した結果。
新しく角を作り直すことを諦め。
破れた角の布地の上に、
別な布地を覆い被せることにしました。
(考えた末、これが1番、失敗した時の被害が少ないと判断しました)
その1ヶ月の成果が、こちら。
もう角ではなく、
何か座布団がくっついているみたいになっているけど、
これが私の精いっぱい。
(一応、出来る限り残した、角の形のあと)
針で指を刺してしまった時に、
玉になって溢れた血が、
うっかり角の布に付いてしまったり、
不恰好になってしまったりはしているけれど、
自分で繕った角は存外に可愛く思えて、
お気に入りになりました。
そして、この、
羊太郎くんの修繕作業が終わってから、
ようやく私は、
引越し荷物をダンボール箱に入れることが、
出来るようになったのですが。
結局、
自分で修繕した羊太郎くんが可愛いすぎて、
引越し当時の朝まで、
羊太郎くんがダンボール箱に入れられることは、
無かったのでした。
側から見たら、
抱き枕の修繕が出来ないと、
引越し荷物の梱包作業が出来ないことなんてない、
1ヶ月もそんなことに費やさないで、
出来る事からやっておけばいいのに、
と言われることは百も承知なのですが。
(そして、こんな事、子供の頃から散々言われているのですが)
でも、ASDとして50年以上生きてきた私が、
辿り着いたこの答え、
これだけは言わせて欲しい。
ASDは自分の気になる事を先にやらないと、
違うことを無理矢理やっても心が苦しくて、
結局、進まなくなってしまうから、
どんなに非効率的に見えても、
自分の気になることを先にやった方が、
結果的には物事は早く進む。
ASDといっても、本当に人それぞれで、
これは、私に限ったことかもしれないけれど。
こんなにスッキリした気持ちで、
引越し荷物の梱包作業に取り掛かれたのは、
羊太郎くんの角の修繕を先にやったからこそ、
だったので。
この最後の一文を訴えたくて、
人様に見せるのは恥ずかしい、
自分のガタガタな手縫いの羊太郎くんの角を、
載せさせていただきました。