発達障害(ASD)グレーゾーン

自閉症スペクトラムで良かったところ

腹痛の男性

昨日は課長がお休みだったため、
昨日あった、
本来は課長が出席するはずの会議は、
課長に代理出席を頼まれた、
課長補佐の男性が、出席するはずでした。

でも、会議の担当部署から、

「開始時間が過ぎても課長補佐が来られません」

との電話が入り、
急きょ、私が参加することになりました。

その会議は、
支社の各課長が集まって、
今後の支社の業務予定を確認する、
会議だったのですが、
代理出席を頼まれてもいなかった私は、
課長が今後、
どのように業務を進める予定か、
把握しておらず、
事前に目を通しておく資料があったことも、
知らなかったため、
意見を求められても、
何も答えることが出来ませんでした。

課長の中に、
1人場違いの係長である私が出席するという、
とても緊張する会議から、
事務所へ戻ってくると、
本来、代理出席するはずだった課長補佐が、
自分の席に座って仕事をしていました。

その姿をみて、
私が何か言おうとする前に、
課長補佐は、
私に向かって笑顔で片手を上げると、

「すみません、お腹が痛くてトイレに行ってました」

と言ってきました。

具合が悪かったと言われると、
私は何も言うことが出来なかったため、

「それなら仕方ないですね」

と答えたのです、が。

夕方、その課長補佐が定時で帰った後、
思わぬ会議参加で自分の仕事が終わらず、
残業になってしまっていた私に、
同じく残業になっていた部下達が、
一斉に話しかけてきました。

「私、課長補佐が会議の時間、外で話してるのみましたよ」

「係長が会議に出たらすぐ、帰ってきましたよ」

「20分もトイレにいたとか、おかしいですよ」

私達は会議の担当部署から電話がきた時に、皆んなで一斉に課長補佐を探し回り、
見つからずに代わりに私が会議に参加することになるまで、20分ほどの時間が経っていました。

そして、皆んな口々に、こう言いました。

「お腹痛かったとか、あれ、嘘ですよ!」

皆んながあまりに、
当然のこととしていうので、

「えっ?!嘘なの??」

と、私は驚いて尋ねました。

するとなぜか、
さっきまであんなに、
嘘だと確信を持って話していた部下達が、
途端にこんな風に言い始めました。

「いや、絶対じゃないけど」

「とっても元気だったのに、お腹痛いとかおかしいですよ」

「事務所に帰ってくるタイミング、良すぎますもん」

そんな風に言い出した部下達をみて、
皆んな、
課長補佐が嘘をついていると言っているけど、
全て憶測なんだ、と分かりました。

そして、そんな憶測を聞くまで、
課長補佐が嘘をついているなどと、
考えもしなかった私は、
人の言葉をそのまま素直に受け取る、
自閉症スペクトラムで良かったなぁ、
と思いました。

なぜなら。

部下達の憶測を聞いて始めて、
課長補佐が会議に参加したくなくて、
私に嘘をついたのかもしれない、
と考えた私は、
とても不快な思いがしたからです。

確かに、課長補佐の嫌なことをすぐ人に振る、
狡い性格を考えたなら、
その可能性は十分あるように思えました。

でも、先ほど部下達の話を聞くまで、
そんなことを考えつきもしなかった私は、
課長補佐の代わりに会議に出たせいで、
自分が残業になって、
課長補佐が定時で帰っていっても、
ちっとも嫌な気持ちになりませんでした。

自分の状況を仕方の無いものだと割り切って、
受け入れることが出来ていたからです。

でも、部下達の話を聞いて、
お腹が痛いと言ったことが、
嘘だったかもしれないと考えたら、
とても穏やかな気持ちでいることは、
出来ませんでした。

課長補佐に本当のことを確認をしても、
きっとお腹が痛かった、
としか言わないでしょうし、
人の体調のことなど、
他人にどうこうは言えないから、
部下達の嘘だという意見は、
決して憶測の域を出ることはありません。

だったら、
人の言葉の裏まで考えて、
確認出来ない憶測で不快な思いをする、
定型発達者よりも、
人の言葉を文字通り受け取って、
相手が嘘をつくことなど考えつきもせず、
何なら人の役に立ったと喜んでいられる、
自閉症スペクトラムの私の方が、
よっぽど幸せに過ごせるのではないか、
と思いました。

私のこの性質は、
人に利用されやすかったり、
騙されやすかったりするようで、
そんな私を心配した娘からは、

「お母さん、絶対に壺なんか買ってきちゃダメだからね」

と言われてしまうのだけど。

自分の人生を、
長い、ながぁ〜い目でみた時に、

「どんな私が幸せかなぁ」

って考えたら、
やっぱり、
人の言葉をそのまま素直に受け取れる、
そんな自閉症スペクトラムな私の方が、
人の言動を勘ぐってしまう私より、
幸せなんじゃないかな、
と思ったのでした。