発達障害(ASD)グレーゾーン

自閉スペクトラム症障害者の想像力

想像する女の子

昨日は夜の9時半まで残業でした。

本当は私は、
自分の仕事だけだったら、
残業なんてしなくて良かったのだけど。

私の部下の3人が、
4月の転勤で交替になり、
そのうちの新しく入ってきた1人が、
慣れない業務で、
仕事の優先順位が、
分からないようだったから、
人に教わらなければ、
出来ない仕事からするように、
アドバイスしたんだけど。

「私はこの仕事からやりたいんです」

そう言って、
自分1人で出来る仕事を、
優先したものだから、
人に教わらなければいけない仕事を、
始めだしたのが、
昨日の夜7時前になってしまって。

その後に回した、
仕事のやり方を教えられる人は、
その部下が教えを請おうとしないから、
とっくに帰ってしまっていて。

どうするのかと思って、
部下を見ていたら、
前任者の仕事の、
申し送りのファイルを眺めていて、
なんの作業も始まらなくて。

そんな部下の姿を見ていて私は、

「やっぱりなぁ」

っていう気持ちになりながら、
その部下のところに歩いて行きました。

彼女が後に回した、
仕事を教えるために。

本当は、
彼女が始めようとしてた業務は、
私に直接関係がないため、
係長である私が、
彼女に教える必要は無いんだけど。

その仕事を教えられる子は、
帰ってしまっていて、
誰にも教わらずに、
前任者の申し送りを読んだだけでは、
絶対にその仕事をこなすのは、
無理な内容の仕事だと、
以前、
その仕事をしていたことがあって、
分かっていた私は、
その部下が1人で、
その仕事に取り組んだ時に、
途方に暮れないように、
あえて自分も残業して、
その部下が、
教わらなければ出来ない、
仕事を始めるのを、
ずっと待っていたのでした。

けれど。

私がその仕事が出来ることを、
知っていながら、
その部下は自分から、
私にやり方を、
聞いては来ませんでした。

私の方から、

「進み具合はどうですか?」

と声をかけるまで、
ただ、
申し送りファイルを眺めていただけで、
私が声をかけると、

「さっぱり分かりません」

と答えてきました。

私はそれから、
彼女にずっと仕事を教えて、
9時半の帰宅となったのでした。

こんな時、私は

「自閉スペクトラム症は想像力がない」

って本当かな?って思ってしまいます。

私は、彼女が、
人に教わらなければ出来ない仕事を、
後に回した時点で、
彼女が夜に1人、
やり方が分からない仕事を抱えたまま、
取り残されるのを、
容易に想像することが出来ました。

それは、彼女に仕事を教えられる子が、
人の様子を気遣って、
仕事を手伝うような人間ではないことを、
知っていたからでした。

私の想像どおりに、
昨日の私の職場はことが進んでいきました。

そして私は、
自分のアドバイスを聞かずに、
自分のやりたい仕事から、
手をつけた彼女を、
1人残して帰宅することが出来ませんでした。

1人残された彼女が、
何も出来ないことが分かっていたからです。

そして、教えてくれる人もいないまま、
分からない仕事と向き合うのが、
どんなに辛くて大変なことなのかも、
私は想像し、
そのために、体は疲れていたけれど、
先に帰宅することが出来なかったのです。

私以外の定型発達者は、
彼女の仕事の、
進み具合を気にすることもなく、
彼女が残業中に、
困るであろうことを想像することもなく、
自分の仕事だけやったら、
さっさと帰っていきました。

こんな時、
想像力が無いのはどっちだろう?
と思います。

それとも。

定型発達者は、
人が困るであろうと想像しても、
そんな相手を、
見捨ててしまえるものなのでしょうか?

私には相手のことを思うと心が痛んで、
とても見捨てることが出来ません。

そして、人生を生きるには、
要領が悪いかもしれないけれど、
そんな自分の性質を、
好ましいと思っています。

人の辛さを想像しても、
切り捨ててしまえるのが定型発達者なら、
私は生きづらいけれど、
自閉スペクトラム症な自分で良かったと、
やっぱり思ってしまうのでした。