セラピー/カウンセリング

トラウマに向き合う心理セラピーが発達障害グレーゾーンに与える影響

私は自分が、
発達障害グレーゾーンだという事を知り、
発達障害専門カウンセリングを受ける前は、
生き辛さの原因は、
過去の自分のトラウマにあるのではないか、
と思い、
心の傷に向き合う心理セラピーに、
通っていました。

そこで、私は色んな人から、
沢山のセッションを受けたのですが、
その中には改善を認められないばかりか、
さらに状況を悪化するような、
セッションも含まれていました。

もちろん、心理セラピストの方々に、
私の状況を悪化させようとする、
意図はありません。
一生懸命、私の生き辛さの克服の為に、
手を尽くして下さいました。

しかし、
アプローチの仕方が間違っていたが為に、
酷く私を混乱させ、
問題を複雑にしてしまう、
セッションがあったことも、
また事実でした。

私の受けた心理セラピーでは、
人が人間関係が上手く気付けない理由は、
子ども時代の、
家族との関わり方に問題があるからだ、
と考えていました。

確かに、人付き合いがうまく出来ない、
私の子ども時代は、
決して幸福ではありませんでした。

私の父が、私よりも強い、
発達障害の性質を持っていて、
その倫理観も低かったからです。


私の父はひどい癇癪持ちで、
自分の気に入らないことがあると暴れて、
暴力を振るいました。
その暴力は、直接、
家族に振るわれることはありませんでしたが、
父が気に入らない相手を怒鳴りつけ、
茶碗や家の壁といった、
周囲の物を破壊していく様は、
年端も行かない子どもだった私には、
恐ろしくてたまりませんでした。

そして、父の気に入らない相手は、
おもに私でした。

周囲の人間に対して、
上手く自分の気持ちが伝えられない私に、
父が苛立って私を怒鳴りつけ、
その父の様子があまりにも怖くて、
私は声を出すことも出来ず、
ただ泣くばかりで、
そんな私に対して、
更に父が怒り狂うという日々を、
私は小学校に上がる前から、
毎日繰り返していました。

私の父は、家の中で、
一番自分を優先されたい人間だった為、
私のように、
父に合わせる事が出来ない人間を、
とても嫌いました。

子どもの頃には、
知識がなくて分りませんでしたが、
父の自分本位な言動や、
相手を思いやれない振る舞いは、
まさに発達障害の症状に、
よく当てはまっていました。

発達障害は現在ではまだ、
医学的なはっきりした根拠は、
見つかっていないようですが、
遺伝的な要因があるのではないか、
と考えられているそうです。

父親似と言われる私は、
その言葉にとても納得しました。

こんな私の子ども時代を話すと、
心理セラピストの方達は、
私が人と上手く付き合えない原因が、
子ども時代にあると考えて、
私の子ども時代を、
懸命に癒そうとしました。

子ども時代に愛情を受けられなかった、
私を癒すために、
私のインナーチャイルドを、
癒そうとしました。

でも、その度に私は、
自分の子ども時代が、
とても幸せだったことを、
思い出していました。

心理セラピストの方からは、
私のその気持ちは逃げだ、
と言われました。

子ども時代の辛かった思い出を封じて、
向き合わないようにしている、
と言われました。

確かに、私の子ども時代は、
決して愛情に、
溢れたものではありませんでした。

けれど、父は働いているので、
日中に家にいる事はありません。

その自由な日中で、
私は独り、
とても幸せな日々を過ごしていました。

田舎に住んでいた私は、
周囲に、
同じくらいの年頃の子どもがおらず、
その替わりに、
自然に囲まれて暮らしていたため、
自然の中にいる、
目には見えないものとの交流を、
楽しんでいました。


私は花の中に妖精の姿をみて、
光のなかに神さまをみていました。

それは、子ども特有の、
夢想だったのかもしれませんが、
それは私にとって、
とても幸せな交流の記憶でした。

誰からも構われることなく、
独りで自由に、
見えない者たちと交流する時間は、
私にとって、とても幸せなものでした。

しかし、心理セラピストの目には、
そうは映っていないようでした。

子ども時代に、
両親から構われる事無く、
いつも独りでいた、
その辛さから生み出した、
妄想と思われていたのか、
心理セラピストに、いくら私が、
子ども時代のこの幸せな記憶を語っても、
それは現実からの逃避にしか、
映らないようでした。

心の傷と向き合わなければ貴女の人生は変わらない

私の生き辛さの原因を、
子ども時代の不遇さに求めた、
その心理セラピーでは、
私の幸せだった、
子ども時代の記憶には目を向けず、
インナーチャイルドを癒すという目的で、
私の子ども時代の、
不遇な出来事にばかり目を向けさせた為、
私はどんどん心の元気を無くし、
発想がネガティブになり、
いつも過去の出来事を思い出して、
涙ぐむという、
鬱のような状況を呈していきました。

同じ心理セラピーを受けている、
他の人達は、
そこでセッションを受ける事で、
元気になっていっていた為、
なぜここでも私は、
人と同じような結果が出せないのかと、
とても悲しい気持ちになりました。

でも、そんな時、私は自分が、
発達障害グレーゾーンであることを、
知ったのです。

私は発達障害のうち、
現在は自閉スペクトラム症と、
呼ばれている中の、
アスペルガー症候群に、
該当する人間なのですが、
その、アスペルガー症候群の特徴の中に、

「人の言葉をそのまま受け入れる」
「信じ込みやすい」

という特徴があることを知りました。

そして、そんな特性がある、
発達障害グレーゾーンの私は、
自分の幸せだった子どもの頃の記憶さえ、
セラピストに言われるがままに、
とても不幸で可哀そうだったと、
思うようになっていた事に気付きました。

その事に気付いた時に私は、
過去の自分を悲しむ事に時間を費やす、
その心理セラピーに通うことを辞めました。

子ども時代の、
哀しい記憶に寄り添って自分を癒す方法は、
思い込みの激しい私には、
不向きだったことを知ったからです。

一つの物事に固執しやすい、
発達障害グレーゾーンの私は、
自分の過去の、
悲しい出来事に焦点を当て始めたら、
ただひたすらその事にだけ、
注目してしまいます。

そして、その真面目な性質から、
言われたとおり、
どんな些細な子ども時代の悲しみさえ、
見逃さないように、
忘れていた記憶の底から救い上げます。

そうやって、
悲しかった出来事を思い出して、
何度も何度も、
その時の感情を思い出す事で、
私の心は鬱状態になるほどに、
落ち込んだのです。

本当は、その過去の、
傷ついた子ども時代の自分である、
インナーチャイルドに、
大人になった自分が寄り添ってあげる事で、
インナーチャイルドは癒され、
過去も癒されるのだそうですが、
私には、
そのような芸当はできませんでした。

なぜなら、
子ども時代の出来事で悲しんでいるのは、
紛れもない大人の私自身だからです。
私にとってその悲しみは、
子ども時代に置いてきたものではなく、
今もなお、
私の心の中にあるものでした。

それなのに、イメージの中で、
子どもの自分を慰めるなんて、
私には出来ませんでした。

イメージの中で、
悲しんでいるインナーチャイルドは、
子どもの姿をしているだけの、
私だからです。

自分で自分を慰めることは、
とても困難です。

そして私は、
自分がそんな
困難な方法をとらなくても、
生きやすい人生を送れることを、
知りました。

私の人生の生き辛さの原因は、
子ども時代の、
トラウマにあるのではなく、
発達障害グレーゾーンの特性のせいだ、
と分ったからです。

私が、
インナーチャイルドと向き合うことを辞め、
発達障害専門カウンセリングに通うことで、
得ている成果は、
このブログに上げているとおりです。

これはあくまで私の体験談なので、
全ての発達障害グレーゾーンの人が、
私のように過去のトラウマに向き合う事で、
落ち込む訳でもなければ、
インナーチャイルドを癒せない訳でも、
ないと思います。

だから、今現在、
生き辛さを抱えている人達が、
自分を生きやすくする為の方法を、
選択する時の、
参考程度になればいいと思います。

ただ、トラウマに向き合う心理セラピーと
発達障害専門カウンセリングを受けて、
私自身が思った事は、

心という目に見えないものを扱うより、
行動を変える方が結果が見えて取り組みやすい

という事は言えるのではないか、
ということでした。