私の成育歴

マルトリートメントと私31.普通を教わる小学生

二人並んだ小学生
私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、私が自分の成育歴を振り返ることにした理由をご覧ください。
私の成育歴の記事一覧は、愛着障害に関する成育歴にあります。

※自分の記憶に基づいて書いているため、事実と違っている可能性があります。

私と兄が通っていた小学校は、
1学年1クラスの、
とても小さな学校でした。

しかも1学年の子供の数は、
30人前後だったため、
全校生徒で数えても、
子供の数は200人もいませんでした。

そんな小さな小学校だったため、
だいたい生徒はお互いに、
顔も名前も知っている人ばかりで、
誰と誰が兄弟姉妹だというのも、
当然、皆んな知っている事項でした。

けれど、そんな中で。

問題を起こして暴れ回った私を、

恥ずかしいと感じていた兄は、

「絶対に学校で自分に話しかけるな」

と、
私に厳命していました。

なので私は、
全校生徒が私と兄が兄妹だと知っている中、
学校で会っても、
まるで赤の他人のように、
絶対にお互いに目を合わすことも、
口をきくこともありませんでした。

本当に幼い頃は、
いつも兄と2人で遊んでいて、
怖がりの兄を、
背にかばったりしていたのですが、
少しずつ成長していくとともに、
学校生活の比重が重くなっていくと、
集団生活に上手く適応出来ない私は、
兄にとって妹だとバレたくない、
邪魔な存在になってしまったようでした。

そんな兄と私は小学生になると、
よくケンカをするようになりました。

一番覚えている、
ケンカで兄に言われた言葉は、
タオルで私を叩き続ける兄に対し、
母が止めに入った時に、
兄が母に対して言った、

「こいつには体で覚えさせないと、
口で言っても分からないんだ」

という言葉でした。

それは、その当時、
我が家で飼っていた犬をしつけと言って、
父が逃げられないように、

犬の耳を握って拳で殴りつける時に、
よく言っていた台詞でした。

兄にタオルで叩かれた皮膚は、
ミミズ腫れを起こしていました。

体も痛かったのですが、
その時の私は、心の方が更に痛みました。

それは兄から、

自分が人間扱いされていない

と感じたからでした。

自分を動物と同じように扱う兄に、
私は憎悪さえ抱きました。

もちろん私もそんな兄に対して、
心を開こう、
などと思うことはありませんでした。

でも、家族からも見放され、
誰にも理解されない学校生活を送るのは、
とても苦しいものでした。

私は、孤独でした。

ASD(自閉スペクトラム症)に
該当する私は、
普通と言われる人々と、
モノの考え方や感じ方が違うからか。

それとも機能不全家族の中で育って、
自分の感情や考えを、
言葉にするのが苦手だからか。

人に自分の意見を理解してもらうまでには、
泣き続けたり暴れたりして、
何とか自分の言葉に、
じっくりと耳を傾けてもらわなければ、
なりませんでした。

私はASDゆえ、
元々はとても、
拘りの強い人間だったのですが、
ある日、そうやって自分の言葉を発し続け、
自分として生き続けることに、
疲れ果ててしまいました。

そんなことをしていても、
誤解ばかりされて、
孤独で辛くて苦しいだけだ、
と思いました。

そして私は、

誰にも理解されない自分の人生を、
生きることを諦める

ことにしたのでした。

私はその当時、
自分と同じ子供会に所属していて、
よく一緒に遊んでいた、
同じ歳のすーちゃんに、
こんなお願いをしました。

「私に普通を教えてください」

すると、すーちゃんからは、
こんな言葉が返ってきました。

「だったら私の真似をしなさい」

私はすーちゃんに言われた通り、
すーちゃんの真似をするようになりました。

すーちゃんを見ながら、
手や足を動かして、
すーちゃんと同じ言葉を、
発するようになりました。

すーちゃんの真似をする毎日は、
とても虚しくて、
私の心は少しずつ、
空っぽになっていったけれど、
周囲の大人たちは、そんな私をみて、

社会性が出てきた

と喜びました。

そんな、
誰も私の本当の気持ちなど理解せず、
全く的外れな言葉を口にする大人を、
冷めた目で見つめながら、
私の心はどんどんと、
硬質化して動かなくなっていきました。

私は周囲の人間に溶け込むために、
おどけてバカな真似をして、
媚を売って暮らしていました。

顔は笑っていましたが、
心は虚ろでした。

私は自分以外の誰かになることでしか、
学校で生き延びる術を、
得ることが出来なかったのでした。

この時のことを私は、

「魂の自殺」

と自分の人生の中で位置付けています。

【追記】

私はこの本に中学生で出会って、
号泣してしまいました。

【さようならアルルカン 氷室冴子著】


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この本に出てくる、
心が崩壊してしまった女の子の感性が、
あまりに自分に似ていると、
感じたからでした。

その女の子も、
学校の先生や周囲の同級生達に、
自分の感性が理解されず、
心が崩壊し、
道化を演じることになったのでした。

最後にこの女の子は、
自分を取り戻すのですが、
中学生の私はもう、
周囲の人間に合わせ過ぎていて、
自分がどんな人間だったのかさえ、
思い出すことが、
出来なくなってしまっていました。

魂の自殺を実行してから、
再び自分を取り戻すまで、
私は20年以上の歳月を、
費やすることになってしまったのでした。

マルトリートメントと私32.変わってきた父の態度に続きます。