社会との関わり方

気を付けよう!発達障害グレーゾーンのここが嫌われる!!

分かれ道

以前、九州支社の幹部の方が査察にきた時に、
発達障害を疑われている私の部下のW君も、
かなり業務のやり方を指導されていました。

でもW君は、
自分の仕事自体を理解していないので、
指導された内容を理解する事が出来ず、
難しい書類に関する事は全部、
私がW君に変わって、
指導された事項を修正していました。

もう少しでW君が指導された仕事のカタを、
つけられる位に仕事を進めていたのですが、
7月に入ってから急に、
取引先との大きなトラブルが発生し、
私はそのトラブルへの対応にかかりっきりで、
昼休みの食事休憩もままならず、
私の机の上には、
忙しくて手が付けられずにいる、
指導を受けたきり修正されていない、
W君の書類が、
積まれたままになっていました。

7月に入ってから、
昼休みも休まず働いて毎日残業をする、
そんな生活を続けていた私は、
心も体も疲れ切っていて、
正直なところ、
早く家に帰りたかったのですが、
溜まっていたW君の書類を片づける為に、
今日もやっぱり残業をする事にしました。

なぜなら査察をうけた時に、
幹部の方から指摘された不備を修正する為に、
取引先に提出を依頼していた書類を、
今日、取引先が私に届けにきたからでした。

その取引先の業者はW君の担当なのですが、
書類を依頼したのが私だった為、
その業者の方は書類を直接私に届けるために、
窓口に座っているW君の前を通り過ぎて、
奥に座っている私のところまでやってきました。

私はそこの業者さんと、
直接お会いした事は無かったのですが、
皆さん統一されたユニフォームを着ている為、
一目で自分が依頼していた書類を、
持ってきてくれたのだと分りました。

私の上司もその様子をみて、

「あぁ、例の書類を持ってきたの?」

と私に話しかけてきた為、
多分、営業所にいた誰もが、
私が査察でW君が指摘された不備の書類を、
受け取った事に気付いたと思います。

取引先の業者に無理を言って、
査察で指導を受けた書類を、
遡及して提出してもらったので、
私は早く、
その書類を処理しなければならないと、
本当は家に帰りたい気持ちを押し殺して、
W君がちゃんと整備していなかった、
その書類を、
残って片づける事にしたのでした。

そんな気持ちで残業している私の前で、
W君は自分の荷物を片づけると、

「お先に失礼しまーす」

と、さっさと帰っていってしまいました。

そんなW君の姿をみて、
流石に私は怒りが湧いてきました。

W君以外の他の営業所の皆んなは、
私が何のために残業しているかは、
きっと理解していたことでしょう。

けれど、
周囲の事に気を配る事が出来ないW君は、
私が何の為に残業しているかは分りません。

発達障害グレーゾーンの私は、
たとえ目の前を、
自分の担当する業者が素通りしても、
その業者が、
何か私に書類を渡していたとしても、
W君の中でその出来事が結びつかずに、
私がW君の仕事を片付ける為に、
残業しているなどと、
思い至らなかったのであろうことは、
なんとなく想像がつきます。

彼に悪気は無い、そう思います。

でも、頭ではそのように理解できても。

彼よりも忙しく、
昼休みも取らずに働いている私が、
彼の仕事の為に残業しているのに、
しっかりとお昼に休憩をとれている彼が、
私の状況に気付きもせずに、
先に家に帰るという事実を、
私は淡々と受け入れる事が出来ませんでした。

彼は障害者枠ではなく、
普通の社員として入社して、
普通に責任ある仕事を任されているのです。

お給料も皆んなと同じように頂いています。

それなのに、
彼は発達障害の傾向があり、
仕事が出来ないからと、
彼の分の仕事までやらなければいけない私は、
その事実を理不尽だと感じてしまうのです。

私が彼に対して抱いている感情は、
きっと仕事が出来ないと言われる、
発達障害グレーゾーンと、
一緒に働いている定型発達者が、
発達障害グレーゾーンにむけて、
抱いている気持ちと、
同じものだろうと思います。

こういう時、
私は発達障害グレーゾーンだからといって、
人は優しくはしてくれない、
と実感します。

発達障害グレーゾーンの、
当事者である私でさえ、
身も心も余裕がない時には、
発達障害グレーゾーンを、
思いやってあげる事が出来ないのだから、
病気という診断がされない、
発達障害グレーゾーンを、
一般の人が気遣ってくれる事など、
期待出来ないと思うからです。

だから、発達障害グレーゾーンは、
人の優しさや社会の制度に期待などせずに、
自分の力で生きていく術を見つける事が、
大事なのではないか、と思います。

その為にはまず、2次障害の発症を防ぐこと。
2次障害を防ぐには、
社会で生きやすくなる術を身につけること。

職場の人間関係に思い悩み、
自分の精神が病む前に、
発達障害専門カウンセリングに通い、
ソーシャルスキルトレーニングを、
受けている私は、
今、少しずつ、その効果を感じてきています。

・周囲のことに気を配れない。

・相手を思いやる事ができない。

そんな発達障害グレーゾーンの性質を、

「自分はこういう人間で変える事が出来ません」

と、
いつも相手に対して理解を求めるばかりなら、
人間関係は必ず綻び、
2次障害を発症する確率は高くなります。

ずっと人に気遣いを求める人間の相手など、
忙しく働く会社ではしていられないからです。

私も持っている、
今日W君が私に対して披露した、
発達障害グレーゾーンの2つの性質。

この性質を改善しようとするのか、
自分はそういう人間だからと、
そのままの自分でいるのか。

どちらを選ぶのも、
自分の選択だという事だけは、
忘れてはいけない事だと思います。