2次障害の防ぎ方

無意識の恐れに向き合った結果

数日前、私が作成した内容に間違いがないか、
取引相手に何度も確認して、
配布の許可をもらってから、
お客様に配布したチラシ。

けれどその確認した取引相手から、

「聞いていない!!」

と、言いがかりをつけられ、
営業所に怒鳴り込まれるという事態が起き。

私にとっては、
お詫びの為に退職することを考える程の、
言いがかりをつけられたのが原因で、
それ以降、その相手の姿を見ると
無意識に怯えるようになってしまった私は、
このままではいけないと思い、
自分の心の中のスキーマ(信念)を、
発達障害専門カウンセリングで行っている、
メタ認知(自分の物事の捉え方を知る事)
を使って、
探し出す作業を実施しました。

【メタ認知】
《metaは、より高次の、の意》認知心理学の用語。自分の行動・考え方・性格などを別の立場から見て認識する活動をいう。

※デジタル大辞泉より引用

そして、その作業を実施してから、

「自分の中に見捨てられる恐怖」

があるのを知った私は、
アファメーション(肯定文)を繰り返して、
新たな認知を定着させようとする試みの他に、
もう1つ、
恐怖を克服する為に行っていた事がありました。

それは、この本の中のコラムに載っていた、


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認知行動療法のルーツとなった、
【論理療法】を考案したエリス博士が、
自身の悩みを解決するためにとった行動を、
私も実践することでした。

論理療法を考えたエリス博士は、
病弱、ネグレクトに近い環境、
幼いころの両親の離婚といった、
不遇な環境で育っていた所為か、
人見知りや対人不安、
特に女性への苦手意識を持っていて、
それらの悩みを克服する為に、

「1か月で100人の女性に声をかける」

という課題を自分に課したそうです。

その結果、
デートに応じてくれた女性は、
いなかったものの、
それはエリス博士が思っていた程、
絶望的な事ではないという事が分り、

「人に拒否されたらおしまいだ」

という不合理な信念を捨てる事が出来、
人見知りを直すことに成功した、
といった内容のものでした。


このコラムに書かれていたことは、
言いがかりをつけてきた相手を、
怖れている自分と、
状況がとても似ているような気がしました。

だから私は、
エリス博士の行動を、
真似てみることにしたのです。

私の場合は女性全般ではなく、
自分に言いがかりをつけてきた奥様1人が、
苦手意識の対象だった為、
私は自分から積極的に、
この奥様に話しかけることで、
この奥様に対する恐怖を克服しよう、
と考えました。

そのように考えていたら、
普段窓口に立たない為、
奥様と触れ合う機会は殆どない私に、
すぐに奥様と話すチャンスがやってきました。

その場面は奥様と私の二人きりではなく、
奥様が私に怒って苦情を言った事を心配して、
電話をかけてきてくれた奥様の娘さんと、
私が配ったチラシの回収に協力してくれた、
部下の男の子も一緒だった為、
私は2人きりの気まずさを感じずに、
奥様に話しかけることが出来ました。

まず当たり障りのない、
挨拶から始めたのですが、
その時の奥様の受け答えに私は、

「あれ?」

と感じました。
奥様の私への言葉と、
少し照れたような表情から、
私に対して、
少しばつが悪いと思っている感じと、
ちょっとした気遣いが感じられたからです。

以前このブログで、
発達障害グレーゾーンは人の気持ちが分らない訳ではない
という記事を書いた通り、
私は発達障害グレーゾーンの人達が、
人の気持ちの分らない人間だとは、
思っていません。

ただ、発達障害者や定型発達者に関係なく、
個人の経験の違いから、
人は相手の気持ちが、
完全に理解出来る訳ではないし、
共感出来ない感情もある、と思っています。

では何故、発達障害グレーゾーンの人間が、
人の気持ちが分らないと、
思われているかといえば、
自分の感情に正直で、
人間関係に関して打算する習慣があまりない、
発達障害グレーゾーンの人間は、

「人との関係を良好に保つために、
相手の気持ちを理解できなくても分るフリをする」

といった、
社会で生きていく為に、
定型発達者が身につけた、
そのようなソーシャルスキルがない為に、
人の気持ちが分らないと、
必要以上に思われてしまっている、
というところが本当ではないかと、
私自身は、
自分の経験を通してそのように思っています。

でなければ、社会に出て、
人間関係で揉めて、
2次障害を発症するということは、
起こらないような気がするのです。
(あくまで私個人の見解です)

だから、
奥様から私への気持ちを感じとった時に、
私の奥様への恐れの感情は、
ほぼ無くなったと感じたのですが、
私はその後も自分の感情を探る為に、
積極的に奥様に話しかけました。

そうして話しかければ話しかけるほど、
多少のぎこちなさは感じるものの、
奥様が以前と同じように、
私に接しようとする態度が伺えて、
私の心の中の安心感は、
どんどん高まっていきました。

「もう大丈夫だ」

そんな風に感じた私は、
別れ際に、奥様に対して手を振りながら、

「最近寒くなってきたから、
風邪に気を付けてくださいね」

と、笑顔で屈託なく言うことが出来ました。

相手に対する怖い思いが不要なものだと、
自分に理解させる為にとった、
今回の行動療法は、
私にとって大成功の結果になりました。

嬉しい気持ちで一杯です。

今回は相手に非があり、
相手が自分の非を認めてくれたからこそ、
こんなに上手くいったのだと思いますし、
いつもいつも行動療法が、
こんなに上手くいくとは思っていません。

心の傷を酷くしてしまう可能性もありますし、
嫌な思いを自分にさせる相手に対して、
関わらない方が良い事も勿論あると思います。

けれど、
発達障害グレーゾーンの、
極端にはしる思考の為に、
退職まで思い詰めた事柄に対して、
自分が立ち向かう行動をとって、
改善出来た事は、
自分がこれから幸せに生きていく上で、
必ず役に立つ経験が出来たと思います。