社会との関わり方

自分を嫌うお局部下を笑顔にさせるために私が心掛けたこと

私には4人の部下がいます。

そして、そのうち、
最年長のお局部下と意見が合わず、
私は彼女から私のカップだけ洗わない
という嫌がらせを受け、
私が我慢するという形で、
職場での小康状態を保っていました。

でも、私が、
彼女と一緒に働くことに関して、
ストレスを抱えている状態なのは、
変わりません。

少しでも早く、
毎日を快適に過ごしたいと思っていた私は、
前回の発達障害カウンセリングで習った、

「相手に対して伝えたい事をやわらかい言葉で伝える」

という方法を、試してみることにしました。

私の部下の唯一の男の子は仕事が遅く、
課長から

「あいつは発達障害ではないのか?」

と疑われている人物でした。

私は職場の誰にも、自分が発達障害(グレーゾーン)であることは伝えていないため、課長も私が発達障害(グレーゾーン)であることは知りません。

そんな彼は、私と同じ、
幹部候補の総合職採用でありながら、
仕事があまり出来ない為に、
窓口業務しか任せてもらえず、
同じ窓口業務をしている、
一般職採用の女子達から、
馬鹿にされていました。

私はずっと、そんな彼のことを、
不憫に思っていました。
確かに彼は、
発達障害グレーゾーンの私から見ても、
仕事が遅く、
要領の悪さと業務の覚えの悪さから、
私自身も迷惑を被ったり、
苛々させられたりしていましたが、
それでも真面目に頑張る彼を、
私が馬鹿にする事はありませんでした。

私にとっては、
間違いを指摘されても素直に聞かない、
態度が大きい割に、
仕事に粗があるお局部下よりも、
何か分からないことがあったら、
素直に聞いてくれるその男の子の方が、
よほど好ましかったのです。

何よりも、
私は自分が要領がよくないところを、
努力でカバーしてきた分、
要領よく生きて、
一生懸命頑張っている人を、
馬鹿にする人が嫌いでした。

だから、
彼のことを馬鹿にする態度をとる、
他の窓口業務担当の女子達の態度を、
快く思ってはいませんでした。

だから以前、
まだ私とお局部下の間に、
会話があった時にお局部下から、

「あの男の子は昨年、仕事が出来なくて、
決算期の仕事を何もしてないから、
今年はちゃんとさせた方がいいですよ」

と耳打ちされた時も、
そこに彼を馬鹿にする意図を感じた私は、
お局部下のその助言に対して、

「教えてくれてありがとう。
今年はしてもらうことにする」

と返事はしたものの、
いい気分はしていませんでした。

でもいざ今年、決算期を迎えてみると。

彼どころか、
窓口業務についている部下の誰一人として、
私が2月に指示した決算期の業務を、
決算期の3月中旬になっても、
やる者はいませんでした。

決算期の業務が遅れると、
最終的に、
責任を取らなければいけない立場の私は、
彼女達の仕事を待ちきれなくなり、
さっさと一人で指示した業務を、
終わらせてしまいました。

ただ、このことに対して、
「自分は仕事が出来る」と、
思い込んでいるお局部下が、
快く思わないのでなないかという懸念は、
持っていました。

彼女は自分が分からない仕事は、
人に丸投げしますが、
自分が分かっている仕事に、
人が手を出すことを嫌うからです。

だから私は、
発達障害専門カウンセリングで教わった、

「相手に対して伝えたい事をやわらかい言葉で伝える」

テクニックを使って、
お局部下にこの事を伝える事にしました。

私は彼女が、
自分の机の傍を通りかかった時に、
そっと彼女を呼び止めて、
こう伝えました。

「〇〇さん、あのね。
以前、私にあの男の子に、
決算期の仕事をさせた方がいいって
せっかく教えてくれたんだけど、
あの子は今、
恒常業務も回ってなくて、
とても言えなかったから、
結局わたしが、
あの子の決算期の業務をしてしまったの。
せっかく教えてくれたのに、ごめんね」

私がそう言うと、
お局部下は、あぁといった顔で

「そうですか。いいですよ、別に」

と答えました。
私は今だ!と思って、また言葉を続けました。

「で、彼のだけやると、
彼のプライドが傷つくかもしれないから、
他の皆んなの分も私がやってしまったの。
勝手にしてしまって、ごめんなさいね」

私がそう言うと、彼女は

「あぁ、その方がいいかもしれないですね。
して下さってありがとうございます」

と答えました。

「本当にごめんね。
来年は彼にしてもらうように頑張るから」

私が困った顔をして彼女に言うと、
彼女は笑い出して、

「大丈夫ですよ」

と言って、
私の机のそばを離れました。

私は彼女に、
伝えたい事を円滑に伝えられたことに、
ほっとして、そして

「こんな簡単な事でいいのか」

と思いました。

私がやったのは、

自分の本当の気持ちを伝えることなく、
相手を立てて、
相手に対して下出に出た事

だけでした。

でもそれだけで、お局部下は、
私との会話で笑ってくれたのです。

人と円滑に過ごす為に、全ての相手に対して誠実である必要はない

そんなことを実感した出来事でした。