2次障害の防ぎ方

発達障害グレーゾーンは人の気持ちが分らない訳ではない

発達障害者は人の気持ちが分らない、とよく言われます。
でもそれは間違いだと、私は思うのです。

少なくとも発達障害グレーゾーンな私は、
人の気持ちが分ると思っています。

それは毎回でも、全部でもないかもしれませんが、
そんなことを言い出せば、
定型発達者だって人の気持ちが毎回全部わかる訳ではありません。

だから私は、自分のことを
定型発達者並みに人の気持ちが分る人間だ、と思っています。

ただ、私には定型発達者より
決定的に劣っている点があることも分っています。

それは・・・

「共感力のなさ」

です。

私には、目の前の人間が
悲しんでいたり怒っていたりするのは分るのですが、
なぜ悲しんでいるのか、怒っているのかが、理解出来ないのです。

いえ、たとえ理由が分って頭では理解出来たとしても、
私の心には相手の怒りや悲しみが響いてこないのです。

他人事、という言葉が一番ピッタリくるかもしれません。

私には、相手の感情に同調する気持ちが殆ど湧いてこないのです。

だからでしょうか。
やはり他人の目から見れば、
私は人の気持ちが分らない人間に写るようです。

悲しんでいる相手に対して、他の人は言葉をかけて一緒に悲しむのに、
私は、ただどうしていいか分らずオロオロしてしまいます。

何をしてあげれば相手のためになるかが、分らないからです。

第三者の目で見れば、悲しんでいる人を前にして何もしない、
ただ眺めているだけの冷たい人間になってしまいます。

そして、悲しんでいる人に対して
どう接したらいいか分らずに立ち竦んでいるだけの私は、
相手に冷たい人間だと思われている事だけは、
ちゃんと感じ取ることが出来てしまうのです。

だからもし、あなたの周囲に発達障害グレーゾーンの人間がいて、
悲しんでいる人をみて何もしなかったとしても、
それは人の気持ちが分らなくて何も感じないからではなく、
どう接してあげたらいいかわからないから、が理由なのかもしれません。

相手の気持ちが分ることは、
人に誤解されやすく嫌われやすい発達障害グレーゾーンの人間にとっては
あまりいいことではないように思います。

自分が相手に嫌われていることを感じ取って、
ますます人と触れ合うことに対して臆病になってしまうからです。

今日も人の気持ちに気付いた事で、かなり傷ついたことがありました。

実は明日は、私はうちの営業所の若手社員と二人で、
お得先にご挨拶に行く予定でした。

けれど、前日からの大雪で、
ご挨拶にいく予定が流れてしまいました。

そのことを若手社員と二人で課長の前に呼び出されて伝えられた時、
私と一緒に出掛けるはずだった若手社員が、
あきらかにホッとしたような笑顔をみせたのです。

最近、その若手社員と仲のよい一人の部下と仕事のやり方で揉めたのですが、
その部下が若手社員を相手に、
私に対する文句を言っていたのを聞いていたこともあり、
私はその若手社員から嫌がられていたのだということを認めざるを得ませんでした。

私に対する態度が最近おかしかったので、
そうではないか、とは思っていたのですが、
こんなにあからさまな態度をとられると、
誤解なだけに泣きたい気持ちで一杯になってしまいました。

私が部下に対して間違った指導をしていないことは、
上司や支社の人間に確認済みだったからです。

けれど私と揉めた部下は、私がおかしいという意見を曲げず、
若手社員に対して

「あの人の指導が間違っている」

と言い続けていました。

きっと、揉めた仕事内容を理解していない若手社員は
その言葉をそのまま信じたのでしょう。

誤解だ、と若手社員に言えばいいのかもしれませんが、
普段から人との雑談が苦手で、
若手社員とあまりコミュニケーションをとっていない私は、
自分がいくら言葉を重ねても、
若手社員が普段から付き合いのある
揉めた部下の方の言い分を信じるであろうことは分りました。

私は人付き合いが上手くない分、
一生懸命働くことで、自分を理解してもらおうと思っていました。

陰ひなたなく働くことで、
自分の人間性を知ってもらおうと思っていました。

人付き合いは上手でなくても、
間違ったことをする人間ではないと知ってもらおうと思っていました。

しかし以前の職場では成功して受け入れられたこの方法は、
今の職場では通じませんでした。

今の職場は田舎にあるため、あまり業務量がなく、
皆んな一生懸命働かないため、
1人真面目に働く私の存在など、
最初から目にも入っていなかったのです。

私が人の気持ちに気付かない人間であれば、
揉めた部下が吹聴してまわる陰口のせいで、
自分が他の人間からも嫌われていたなんて、気付きもしなかったでしょう。

そして、それは直接的に誤解を解く術を持たない私にとって、
嫌われていると気付いている今よりも幸せな状態だったろうと思います。

発達障害グレーゾーンは、
人の気持ちにちゃんと気付ける存在なのです。
気付いたあとに、どういう態度を取ればいいか分らないだけなのです。

そのことを、少しでも多くの人に知ってほしいと思います。