社会との関わり方

自己肯定感を下げてくる人への対処法

4月の転勤により、
私は新しい職場で新しい役職に就きました。

新しく勤務する場所で初めての仕事に就いて、
事務所のどこに何の書類があるのかさえ
全く分からないまま、
大きなプロジェクトの責任者になった私は、
何とかプロジェクトを終えたものの、
当然のことながら手際が良くなかった為に、
一部の人達に、

「仕事の出来ない人間」

として見られるようになっていました。

そして、このような評価を受けた場合、
組織や学校といった
社会の中で必ず出現してくるのが

「人を見下して安心したがる人間」

です。

発達障害グレーゾーンの人間なら、
特にその人に対して
何の迷惑もかけていないにも関わらず、
ただ人と同じ事が出来ない事がある、
というだけで自分のことを見下して、
上から目線で接してくる、
嫌な人間に出会ったことが、
少なからずあると思います。

いわゆる「マウンティング」というものです。

「自分の方がお前より上なんだ」

という間違った思い込みから、
自分が見下している相手に酷い態度をとり、
相手の自己肯定感を傷つけることで
その社会の中で自分は底辺ではないのだと
自分の自己肯定感を保つ、
そんな卑怯な人間が、社会には存在します。

私は今の職場で転勤は5回目になりますが、
その中で2人、あからさまに
マウンティングしてくる人達に出会いました。

1人は私が正社員の主任で働いていた時、
パートで働いていた2歳年上の女性Mさん、
1人は私が主任という役職に就いていた時、
平社員だった年上の男性Sさんです。

Mさんは40歳過ぎで未婚、
パートで彼氏もいない状態。

Sさんも40歳半ばで平社員で、
出世の遅い方でした。

対する私は彼らよりも少しばかり年下で、
Mさんは元よりSさんよりも出世していて、
その当時、遠距離で付き合っていた彼氏は
毎週末、私に会いに来てくれていました。

彼らのコンプレックスを刺激するには、
私は十分な存在だったのです。

けれど、私が普通の人間だったなら、
妬まれはしても
会社で立場が下の人間から
マウンティングされることなど
無かったと思います。

ただ、私は
発達障害グレーゾーンの人間でした。

そんな私は、やはり
会社という組織の中では
浮いてしまう存在だったのです。

本当に不思議に思うことなのですが、
日本の社会は学校から会社まで、
『皆んなと違う』という事に敏感であり、
大多数が正義で少数派が悪、

皆んなと違った人間は疎外していい
=苛めていい

といった意識を持っている人達が存在します。

そして、その時の私は、
まだ自分が発達障害グレーゾーンだと知らず、
発達障害専門カウンセリングにも
通っていなくて自己肯定感も低かったため、
そんな人達に対抗する術を、
持ち合わせておらず、
自分に非があるから酷い扱いを受けるのだと、
その扱いを甘んじて受けながら、
毎日泣き暮らしていました。

けれど、今回の私は違います。

前回の出来事で
仕事が出来ないと一部の人から見られた私は、
また、ある1人の人から
マウンティングされるようになっていました。

今回のマウンティング実施者は、
私と年齢も役職も同じ、Hさんです。

以前は分りやすい妬みからくる
マウンティングでしたが、
歳も役職も同じHさんに
私が妬まれる理由はありません。

私はHさんの言動に時々怒りを覚えながらも、
Hさんが何故、
私にマウンティングをしてくるのか
ずっと観察し続けていました。

自分に酷い態度を取る相手に対して、泣くのではなく怒るようになったのが、自己肯定感があがった事による変化だと思います。

するとどうも、
この支社で女性が今の役職についたのは
私が初めてで、
同じ役職の彼はやり辛いこと、
Hさんは家庭が上手くいっていなくて、
奥さんからぞんざいに扱われており、
体を壊して通院するほど
ストレスを抱えていることが分かりました。

そのことが分かった私は、
彼の言葉や態度に対して、
以前マウンティングされた時のように
真正面から受け止めることを辞めました。

発達障害グレーゾーンの私が
以前は取ることの出来なかった

「聞き流す」

という態度を取ることにしたのです。

その態度を取る時には、
軽薄ながらも甘え上手で敵をつくらなかった
ある同僚男性を真似することにしました。

その同僚男性は誰かから指導を受けると、
表面だけの満面の笑顔を浮かべて、

「なるほど、勉強になりました」

などと、にこやかに言ってのけるのです。

そして、多くの人はその笑顔で
自分の言葉が受け入れられたと、
勘違いしていました。

心はともかく、
態度では受け入れているのだから、
この応対はマウンティングをしてくる人間を
あしらう方法として有効ではないか、
と考えたのです。

発達障害グレーゾーンで
人の言葉を真正面から受け止める私にとって
言葉を聞き流すことは容易ではありませんが、
マウンティングをしてくる人の言葉を、
いちいち本気で取り合っていたら、
せっかく積み上げてきた
私の自己肯定感を下げてしまい、
私の人生の一番の目的である

「幸せに生きる」

ということが、疎かになってしまいます。

真正面から受け止めるのも苦しくて、
聞き流すのも苦しいのなら、
その選択の基準は、

よりどちらが自分を幸せにしてくれるか。

そこに基準をおいていれば、
発達障害グレーゾーンの自分の中の拘りとも、
折り合いをつけて、
生きていけるように思えます。