私の成育歴

マルトリートメントと私56.性格を変える通信教育

家で勉強する女の子
私がなぜ、自分の生育歴を振り返るようになったのかは、私が自分の成育歴を振り返ることにした理由をご覧ください。
私の成育歴の記事一覧は、愛着障害に関する成育歴にあります。

※自分の記憶に基づいて書いているため、事実と違っている可能性があります。

私は幼少期から何回も、
周囲の人間から自分を否定されて、
生きてきました。

一番古い、私が自分を否定された記憶は、
4歳の頃から、
40年以上に渡って言われ続けてきた、
自分の父親の言葉でした。

  • 女の子なら要らない
  • お前のせいで母さんは死にかけた
  • 母さんの体が悪いのはお前のせいだ

そして次に、
私のせいで喧嘩の絶えなかった家庭の中で、
兄が私に言った言葉でした。

「お前さえ居なければうちの家族は上手くいくのに!!」

そして小学生の時に母から言われた

  • 「どうしてお前は、他の子と同じように出来ないんだろうね?」
  • 「お前のことは理解出来ないから、もう、放っておくことにする」

という発言により、
私は自分を含めた4人の家族のうち、
自分以外の3人から、
自分を否定されるという状況になりました。

家庭の中に居場所が無くても、
外に居場所があったのなら、
まだ救いはあったかもしれないのですが、
小学生の頃、私が出していたSOSに、
気がついてくれたのは、
用務員のおじいちゃんだけで、
担任の先生には、
その扱いづらさから無視をされ
友達のお母さんからは、

「あの子と遊んではいけません」

言われていた私に、
家庭の外での居場所もありませんでした。

それでも死ぬという希望を持って、
何とか生きていた私だったのですが、
はからずも中学生になるまで生きてしまい
それならば何とか、
"普通"の人達に溶け込もうと、
人を傷つけてまで行った"普通のフリ"は、
中学校の担任教師が家庭訪問で、

「あの子は変わっている」

友人の母親に吹聴するという、
散々な結果に終わったのでした。

私にはもう、
どうすれば普通になれて、
皆んなに自分を受け入れてもらえるのか、
分かりませんでした。

現実に居場所が無かった私は、
本やマンガといった架空の世界に、
逃げ込むようになっていきました。

その頃の少女マンガでは、
何も出来ないダメな女の子の前に、
王子様のような素敵な男の子が現れて、
その王子様のサポートにより、
女の子がどんどん素敵になっていって、
その王子様と女の子が幸せになるという、
シンデレラストーリーが、
王道として描かれていました。

この頃にはもう、
周囲の人間達の言動から、

「自分は人より劣っている」

という認知が出来上がっていた私は、
自分にも、
サポートをしてくれる王子様が現れることを、
強く望んでいました。

この思考が、後に自分の人生を最も困難に陥れるとは、この頃には分かっていませんでした。

私が小学生から中学生の頃には、

「なかよし」「りぼん」

といった少女マンガ雑誌が流行っていて、
私は「なかよし」を、
友達のすーちゃんは「りぼん」を、
同じく友達のさっちゃんは、
「ちゃお」という雑誌を毎月購入し、
お互いに交換して読んでいました。

その3つの雑誌のうちの、
どれに入っていたかは分からないのですが。

ある時、私はその雑誌の中の、
カラーページの裏の広告に、

「愛される性格に変わる」

という内容の通信教育を見つけたのです。

私の目はその広告に、
釘付けになってしまいました。

私は自分を好きだと言わせた男の子を、
最終的には無視するといった、
酷い行為を行った人間だったのですが、
それでも

"人に愛されたい"

と願っていました。

ただ、その当時の私が抱いていた、
愛されたいという思いは、
男女間の愛情という意味ではなく、

「自分の存在を受け入れてもらえる」

という、
本来ならば幼少期に育まれるはずの、
心の安全基地といったものでした。

私はその生育歴から、
自分が生きていることに、
罪悪感を覚えていたため、
自分がこの世に存在していて良い、
という免罪符を、
誰かから与えてもらうことを、
切望していたのです。

私にとって、その免罪符こそが、

「人から愛される」

ということでした。

だから私は、
その当時の中学生が受講するには高い、
1万2千円ほどの受講料のその講座を、
藁にもすがる思いで、
受講することにしたのです。

もちろん、
そんな講座を受講することは、
家族には秘密でした。

その当時、私は、
毎月5千円のお小遣いをもらっていました。

5千円といえば、
結構な額と思われるでしょうが、
私はその5千円から、
自分の着る洋服代や日用品代といった、
自分に係る費用を全て支払っており、
親からもそれ以上のお金は、
出さないと言われていたために、
それほど余裕がある訳ではありませんでした。

けれど母親に対し、
心を閉ざしていた私にとって、
親に使用目的を伝えることなく、
自由に使えるお金があるということは、
とても有り難いことでした。

私は自分が着る服を購入することを諦めて、
その通信教育を、
毎月3千円ほどの分割払いで、
申し込みました。

「人から愛してもらえるなら今の自分の人格なんて要らない」

そんな風に思っていました。

私は申し込みをし、
教材が届くのを心待ちにしていました。

1週間ほど経ってから、
その教材は届きました。

それは茶色い、
横幅15cm、高さ30cmほどの、
紙の箱に入っていました。

私はどのようにして、
自分のこの人から嫌われてしまう性格を、
愛される性格に変えられるのだろうと、
とても楽しみにその箱を開けました。

私は大人が考えて、
お金をとって、
販売しているものなのだから、
きっと凄い効果があるものだと、
思っていたのです。

けれど、私の期待は、
あっさりと打ち砕かれてしまいました。

その箱の中から出てきたのは、

「愛される女の子になるためには、
このような言動をとりましょう」

といった、
マニュアル的なものだったのです。

そして、マニュアルを読んで、
内容を理解しているか、
テストのような質問に回答して送る、
というのが、
この通信教育の内容のようでした。

私はガッカリしてしまいました。

場面に適した言動を真似して行うことならば、
私はすでに小学生の頃から実践していました。

この通信教育との違いは、
通信教育が愛される女の子を目指すのに対し、
私が行っていたことは、
普通にみられる女の子を目指していた位でした。

「この通信教育は役に立たない!!」

私は腹立たしさと共に、
その通信教育の教材を、
押入れに押し込みました。

不要となったら、
それはもう要らないゴミで、
家族に見つからないように捨てるのに、
とても苦労してしまいました。

この頃から私は、
自分を幸せにするために、
色々な方法に手を出していくのですが、
これが一番最初に失敗した、
自己投資だったと思います。

結局、私の現状を。

一発で解決してくれる方法など存在せず。

私は自分で試行錯誤しながら、
社会と関わっていくしか無かったのでした。

マルトリートメントと私57.私が親に秘密で購入していたものに続きます。