社会との関わり方

「何も言わない」という自己表現

微笑むOL

6月末の土日に参加してきた、

アサーション・トレーニング

アサーションとは、

「自己主張が出来ること」

と、受け取られがちなのですが、
私が学んだアサーションは、

「自分の言いたいことが分かっている
        +
「言いたいことを伝えるスキルがある

というものでした。

そして、学んでいて、

「なるほど!!」

と思ったのが、

「何も言わないという態度も自分の意志の表現である」

ということ。

言葉や態度で、
自分の言いたいことを現さなくても、
言わない、何もしない、
という態度を取ることを、
自分が選択して、
その通りに行っているのだから、
それは立派な一つの自己表現だと言われて、
今まで、
無言の状態は意思表示が出来ていない、
と思っていた私は、
新しい考え方に触れて、
目から鱗が落ちたような気分になりました。

そして、今日。

職場で部下が、
ある仕事の改善方法を提案してきたのだけど、
その部下が提案してきた方法は、
過去にもう、私が考えて試してみた方法で、
得られる効果よりもリスクが高かったため、
採用しなかった方法だったのですが、
なぜかその提案を聞いた課長が、
すっかり乗り気になってしまって、
私に対して、

「係長、それやってみたらいいんじゃない?」

などと言ってきた時に、
私は課長に過去に試した経緯を話したら、
きっと課長はこう言ってくるから、
こうやって話が進んでいって、
最終的にやっかいなことになることが、
頭の中で一瞬で想像がついてしまったため、
その厄介な状況を回避するために、
私は無言の笑顔で、
首を少し横に振るという、
一番、課長の思い付きに対して、
被害が少なく済みそうな態度を選択しました。

最初は、改善方法を提案してきた部下も、
その方法に乗り気だった課長も、

「何?その仏様みたいな笑顔」

と言って、
良いとも悪いとも言わない私の態度に対し、
色々言っていたのですが、
元々思い付きだけで、
何の裏打ちもない発言だったため、
私が無言の態度を通していたら、
興味を失って、
他のことに関心を移してくれました。

私は課長が部下の提案した方法から、
興味をそらしてくれたことにホッとしつつ、

「何も言わないことも自己表現」

って本当だなぁと、
つくづく自分の行動を振り返って思いました。

私は下手に何か言葉を言ったり、
リアクションを取ったりすることで、
課長がその提案された方法に、
かえって執着することを、
避けたかったのです。

私の無言の笑顔はそのための、
一番、課長の興味を刺激しない方法として、
選択したものでした。

そして、
部下の提案した方法に賛同しないという、
私の意思表示は、
無言のままで伝わったのです。

これは、自分でそのように選択して、
行った自己表現だから良いけれど。

とっさの時に言葉が出てこない、
ASD(自閉スペクトラム症)の私は、
言葉が出ないということで、
本来自分の行いたかった意思表示と、
違う意思表示をしてしまっていることが、
あるのかもしれないな、
と思いました。

「何も言わないという態度も自己表現の態度の一つ」

このことは、
人とのコミュニケーションで、
誤解を生みやすいASDは特に、
覚えておいた方が良い内容だと思いました。