社会との関わり方

私が自分を嫌っていたお局部下と上手く付き合えた理由

談笑する女性達

私が今年の4月に転勤してきた支社は、
7年前にも勤務していたところでした。

その当時の私は平社員で、
そこの平社員の中で一番年長の女性である、
いわゆる「お局様」から、
やはり嫌われてしまっていました。

だから私は、今回7年ぶりに、
今度は彼女の上司である、
課長補佐という役職で、
同じ支社に帰ってくるにあたって、
このお局部下の取り扱いに、
細心の注意を払うようにしていました。

自分を嫌っている人間がいると、
非常に働き辛いからです。

幸い、と言って良いかは分かりませんが、
転勤の多い総合職で入社の私は、
行く先々で苛めにあっていたおかげで、
自分がどんな人間達から嫌われるのかを、
身を持って知っていました。

それは、

「一般職入社で転勤しないために、
ただ毎日同じ場所で、
同じ仕事を繰り返すことで、
自分は仕事が出来ると、
思い込んでしまっている女性」

です。

このような女性は変化を嫌い、
決して今やっている業務以上のこと、
例えば役職に就く等といった、
責任のある仕事をしようとせず、
長く同じ場所、同じ業務をし続ける事で、
どんどん態度が肥大化し、
年を重ねる毎にお局様になっていきます。

こんな人間が好かれるはずは無いのですが、
定型発達者の女性は、
心の中では、
お局様のことを色々批判していても、
私達、空気の読めない、
発達障害グレーゾーンの人間のように、
その人に対して、
心の中で思っているとおりの態度を取らず、
お局様と揉めないように、
追従した態度を示してご機嫌を取るため、
益々お局様と呼ばれる人間の態度を、
増長させてしまいます。

いわゆるお局様と【上手く付き合う】やり方です。

私はずっと、このような態度を取ることが、
出来ませんでした。

それは、私が、
発達障害グレーゾーンであるため、
心の中と違う言動を取ることが、
難しかったからです。

そして私は、
発達障害専門カウンセリングに通うまで、
【普通】と呼ばれて生きている人間達が、
人と揉め事を起こさないように、
殆ど自分の本心を話していないことを、
知りませんでした。

定型発達者の世界では、
心と違う言動を取る事で、

「うわべだけ取り繕って仲良く過ごす」

ことは、ごく簡単に出来る、
当たり前の行動だったのです。

最初にそのことを知った時は、
私は衝撃で涙を流してしまいました。

相手に対して、
真摯で正直な態度で接するよりも、
うわべだけで仲良くする態度の方が、
相手に好かれるという事実は、
私の価値観を、
根底から覆すものだったからです。

40年以上持っていた自分の価値観が、
定型発達者の世界では間違っていたことを、
受け入れることは、
私にとって辛く苦しいものでしたが、
それでも私は、
その価値観を受け入れることにしました。

私にとって、
自分の価値観を守り抜くことよりも、
自分の人生を、
幸せで豊かなものにすることの方が、
よほど大事なことだったからです。

「職場は生きていく為の、
お金を稼ぐ場所だと割り切って、
心から付き合える相手は、
職場以外で探せばいい」

職場以外に、
絵画教室という自分の居場所を、
見つけていた私は、
自分にそのように言い聞かせて、
4月から同じ職場になった、
元先輩のお局部下に対して、
彼女の言うことを決して否定せず、
受け入れて、
共感を示すような態度をとり続けました。

なぜ、自分の心と違う言動をとると、
心と体が苦しくなってしまう、
発達障害グレーゾーンの私が、
自分の性質と反する行動である、
心の中と相違する言動を、
とり続ける事ができたのか?

それは…

発達障害専門カウンセリングに、
1年以上通い続け、
自分でも通信制大学の心理学科に、
入学して学ぶなど、
人の心への造詣を深めていたため、
自分の持つ、
発達障害グレーゾーン特有のこだわりを、
上手くコントロールして、
自分の心と違う言動を、
自分が苦しむ事なくとる方法を、
私が身につけていたからでした。

実際に、自分が身につけた方法を使えば、
そのお局部下と【上手く付き合う】ことは、
決して難しいものではありませんでした。

さらに。

自分の心の中のこだわりを、
上手くコントロールして、
お局部下のご機嫌を保つことが出来れば、
お局部下は、
自分の心強い味方になってくれることも
分かりました。

お局になるような人間は、
自分が嫌いな相手に対しては、
攻撃してきますが、
自分が気に入った相手に対しては、
とても面倒見が良い一面を、
発揮してくれるからです。

私達、発達障害グレーゾーンの人間にとっては、その面倒見が良いところが押し付けがましく感じられ、苦手だと思ったりするのですが。

今の支社で私は現在、
お局部下に嫌われるどころか、
お局部下が悩んでいる時に相談を受けたり、
私が大変な時に、
お局部下が親身になって心配してくれるなど、
良好な関係を築けています。

それは全て、発達障害専門カウンセリングと、
私自身が心の仕組みを学んできたおかげです。

発達障害グレーゾーンである私たちは、
定型発達者のように、成長する段階で自然に、
人間関係の良好な築き方を、
学ぶことは出来ません。

でも、自然に学ぶことが出来ないのであれば、
知っている誰かに、
師事して教えてもらえばよいのです。

発達障害グレーゾーンの私達は決して、
能力が低いのではなく、
偏っているだけなのだから。

自分の性質に合った生き方が分れば、
ちゃんと、
社会と上手く関わることが出来るのです。