セラピー/カウンセリング

社会で求められるのは『誠実な言葉』ではなく『耳に心地よい言葉』

人に言わせると、
私は両極端な人間なのだそうです。

自分ではよく分らないのですが、
発達障害グレーゾーンの性質のとおり、
私の思考には、
白か黒かのどちらかの意見しかなく、
その中間地点という選択が、
私には無いのだそうです。

そんな私には、
人の嫌なところが良く目に付きます。
そして、
一つ嫌なところに気付いてしまうと、
その人の全てが嫌になってしまいます。

人間に、
完璧な人などいないのは分っていたので、
そんな性格では、
人と仲良くなるのは無理だと考え、
私は人の良いところを見つけるように、
長い間、訓練を積んできました。

そして訓練の結果、
人の良いところを、
見つけられるようになったのですが、
それだけで、
人と仲良くはなれませんでした。

自分が相手の良いところを見つけて、
仲良くなろうとしても、
私が相手から嫌われてしまうからです。

なぜ自分が嫌われてしまうか、
分らなかった私は、
一生懸命、
人に好かれる自分であろうと、
努力してきました。

けれど、
前回のカウンセリングの結果を受けて、
私は自分が、
無駄な努力をしていたのだと気づきました。

私と同じような考え方をする人間は、
日本では少数派であり、
日本で大多数を占めている皆んなは、
私の考え方が嫌いで、
私は大多数を占めている人達の、
考え方が嫌いでした。

これで、
多くの人間と仲良くなれる訳が、
なかったのです。

それなのに私は、
人から極端と言われる考え方から、

「人には公平な態度で接しなければならない」

という信念を持ち、
自分に対する相手の態度に関係なく、
自分の周囲の全ての人に、
平等な態度で接しようとし、
自分を嫌っている人間にも、
親切な対応を心掛けた結果、
相手を増長させ、
酷い態度をとられ、
その事で、とても傷ついていました。

でも、それが、
世界に対する誠実な態度だと、
そうやっ、
誠実な態度で相手に接していたら、
自分を嫌っている相手も、
いつか分ってくれると、
私は信じていたのです。

でも、
発達障害専門カウンセリングに通う中で、
カウンセラーさんから出された宿題で、
私は世の中の多く人が、
誠実であろうとする前に、
保身を図る人達だということに、
気付きました。

自分の心に誠実であるよりも、
自分の感情に従ってしまうのだと知りました。

そして、そんな人達に対して、

「誠実に接していたら、いつか分ってくれる」

という私の考えも、
独りよがりの思い込みであったことに、
気付きました。

彼らには、
私のような思考パターンは無いので、
私の思考を理解していないことさえ、
気付いておらず、
ただ彼らの思考パターンから導き出した、
彼らの思う私の姿が正しいのだと、
信じで疑わないのです。

そんな状態で、
私の気持ちが理解される訳がありません。

これを、心理学用語で

「スコトマ」ー心理的盲点。
1つの物事に注目することで他が認識出来なくなること。

というのだそうです。

そして今までの私も、
彼らに対して、
自分の思考パターンを当てはめ、

「誠実な相手には誠実な態度で返すはず」

という思い込みに基づいた、
スコトマを抱えていた為、
なぜ彼らが誠意を持って接する私に、
酷い態度を取るのか、
理解出来ていなかったのです。

でも、
発達障害専門カウンセリングに通い出し、
カウンセラーさんから、
一般の人達と、
自分の思考の違いを教わった私は、

「自分が相手と違うモノの見方をしている」

という認知を得ることが出来ました。

だから、自分が、
彼らの言動から推測する彼らの気持ちが、
彼らの本当の気持ちではない可能性に、
気付くことが出来たのです。

そして、私の中では当然であった、

「誠実な態度で接すれば、誠実な態度が返ってくる」

という思考が一般的ではなく、
そんな人間の誠実さを、
利用しようとする人さえ、
いる事を知りました。

人は、過去の自分の経験から、
相手の気持ちを推し量ります。
その推測で、
相手に対して色々な感情を抱きます。

人は自分の推測を、
あたかも真実のように考えますが、
でもそれは、
自分が思い込んだ、
勝手な憶測に過ぎないのです。

そして自分の思考パターンが、
大多数という安心感を持っている彼らは、
自分の憶測が間違っている可能性にさえ、
思いを巡らせることが出来ないのです。

そんな彼らと心を通わせ、
仲良くしようと努力することは、
無駄なことなのだ、と思いました。

人と上辺だけで繋がるのは、
寂しいという考えは変わりません。
ちゃんと自分として、
人と関わりたいと思うのも変わりません。

でも、それは”お互いに”歩み寄って、
始めて成り立つものなのです。

人と仲良くなる事を目指すのではなく、

相互理解が出来る人と繋がることを目指す

そのように、
自分の思考を修正しようと思いました。