心的外傷/トラウマ

職場の人間と距離をとる事の大切さ

以前のブログで、
関わりたくない人間は放っておく
と書いてから、
私は本当に、
お局部下の仕事に口を出さなくなりました。

それは、

「部下の仕事の間違いは上司である私の間違い」

という自分の中の仕事に対する責任感を、
手放したからこそ、出来た事でもありました。

ただ、普通に手放そうとしても、
発達障害グレーゾーンで拘りの強い私には、
出来なかったと思います。

その拘りを手放せたのは、

「発達障害脳をアートで改善する」

という、

自分の人生の意義を自分で創出できたこと

が、大きかったのだと思います。

自分の人生において、
やる事が決まった私にとって、
仕事はやりたい事をやる為の、
単なるお金を稼ぐ手段となっていた為、
自分の人生の中の有限な時間を、
必要以上に割くものでは、
無くなっていたのです。

そして、
仕事に対する責任感を手放した私は、

「人と上手くコミュニケーションが取れない私は、
仕事で頑張らないと自分の居場所がない」

という考えのもと、
自分のプライベートな時間まで削って、
必死に仕事をしていた事に気が付きました。

仕事が出来る自分になる事で、
人と違う自分の存在を、
許して欲しかったのです。

そこには、
家族から、学校から、社会から、
ずっと変わった人間として、
疎外されて生きてきた、
発達障害グレーゾーンであるがゆえの、
悲しい自己否定が潜んでいました。

でも、そんな自己否定からくる過重労働も、
人生の意義を見つけた事で、
終わらす事が出来ました。

そして、職場以外の居場所を見つけた私は、
職場の人間と仲良くなろうなどという考えを、
持たなくなっていったのです。

「職場では表面上だけ円満に過ごせればいい」

そんな意識で、
職場の人と接するようになった私は、
以前のように、
職場の人達に好かれよう、
と思う気持ちが無くなり、
その気持ちからくる緊張も、
大分感じないようになりました。
(人が怖い気持ちがあるので、まだ緊張はします)

自分が話しやすいと思う人とだけ雑談し、
他の人とは必要な時に、
必要なだけ話す過ごし方は、
職場での私のストレスを、
かなり減らしてくれ、
私の職場での居心地を向上してくれました。

そして、そんな風に、
自分に無理をさせないように、
職場で過ごしていたら、

「気安く話せる人」

という存在が、私にも現れました。

その人と私は、
意見の合うところも、
合わないところもあります。

でも、職場での人間関係は、
上辺だけの付き合いでいいと思っていた私は、
以前のように違う意見に対して、
反論する事もなく、

「あぁ、そういう考え方もありますね」

と、心の中では色々思っていたとしても、
ただ受け流せるようになっていました。

これは、
以前の私からは考えられない変化でした。

合うか、合わないか。
好きか、嫌いか。

発達障害グレーゾーンの特徴として、
両極端な思考しか持たず、

「この人は自分とは合わない」

と一度思ってしまったら、
すぐに心を閉ざしてしまっていた私にとって、
意見が合わずに嫌だと思った相手と、
その後も楽しく雑談し続けられるのは、
今までなら在り得ないことでした。

ではなぜ、
そんな事が出来るようになったかと言えば、

「最初から心を開いていない」

からでした。

心を開いていないから、
嫌な事を言われても受け流せるし、
笑って聞いていられます。

そしてこれは、
定型発達の人達が、
普通に使っている処世術なのだ、
と、やっているうちに思いました。

発達障害専門カウンセリングに通うまで私は、
日本人は本音を話す人の方が少ない
という事を知りませんでした。

だから皆んな、
本音で話しているのだと思っていました。

皆んな本音で話していると思っているから、
皆んなが同調する話に同意できない自分は、
皆んなの輪の中に入れない、
と思っていました。

でも、違ったのです。

きっと、同調している人の中にも、
本当は違う意見を持っている人が、
いる筈なのです。

でも定型発達者は場の空気を読んで、
自分の意見と違っても、
同意する事が出来るから、
違う意見を持っているように、
見えないだけなのです。

では何故、そんな事が出来るかと言えば、

「彼らは心を開いて話してはいないから」

発達障害グレーゾーンの私は、
脳の器質的なものなのか性格的なものなのか、
最初から心を開いて人と接してしまいます。
そして本音をそのまま口にしてしまう私は、
人から痛い目に遭わされてから初めて、
心を閉ざしていくのです。

でも、定型発達者は違います。
彼らは私とは真逆な態度をとるのです。

彼らは最初は自分の心を隠し、
相手の様子を伺って、
心を開いて大丈夫な相手か確認してから、
心を開いていくのです。

これは私が自分の今までの経験と、
発達障害専門カウンセリングで、
得た知識とを組み合わせ、
辿り着いた結論なので、
一概には言えないかもしれませんが、
私は定型発達者の、
この自分とは真逆な、
人との接し方に気付いた時に、
かなりな衝撃を受けました。

「人との距離感がおかしい」

この言葉は、
以前ある上司から言われたものです。

その時は、
何を言っているのか分りませんでしたが、
恐らく上司の言いたかったのは、
最初から本音で相手に接する私に対して、

「最初からの相手との距離が近すぎる」

という事だったのではないか、と思います。

相手が心を開いていない事に気付かずに、
一方的に心を開いて本音で接する私は、
定型発達者からみたら、
不自然な存在だったのかもしれません。

だから今、
職場で距離をとって人と接している私が、
定型発達者からみたら、
普通なのかもしれません。

心を開いて本音を言う相手は選ばなければならない。

定型発達者なら、
社会に触れたらすぐ学習していそうな、
この処世術を、
私は40年以上の年月をかけてようやく、
理解出来たような気がします。