発達障害(ASD)グレーゾーン

決して人に嫌われるばかりではないASD(自閉スペクトラム症)の特性

楽しい雑談

先日のこと。

私の部署で仕事で使っていた電気器具が、
壊れてしまいました。

それは会社の備品ではなく、
個人の私物を譲り受けたものだったため、
会社の経費で修理してもらうことも、
新しく購入してもらうことも出来ません。

それでもその電気器具がないと、
私の部署の仕事が、
とても面倒になってしまうため、
会社の他の部署で働いている、
その電気器具を直すことが出来る方に、
課長にも口添えをしてもらい、
修理をお願いさせていただきました。

その方は、

「自分の仕事が忙しくない時ならいいですよ」

と快く修理を引き受けてくださり、

「ただ、自分の仕事の合間に修理するので、
2日間かけて修理させてくださいね」

と仰いました。

私は皆んなの代表として、
その方にお願いに行っていたのですが、
直してもらえることが、
とても有り難かったので、

「はい、ご都合の良い時で構いませんので、
よろしくお願いします」

と感謝の言葉を述べて、
その方に修理をお願いしました。

感謝する女性
そして、昨日。

その方が私の部署に来られて、

「じゃあ今日は電気器具の外側を外して、
中の状況を確認するところまでで、
本格的な修理は明日しますね」

と言ったら。

課長がこんなことを言い出したのです。

「いや、2日間もかけてないで、
今日一気に修理出来ないの?」

私はその言葉に驚いてしまいました。

課長には事前に、
修理が2日間にわたることを伝えていたのに、
修理に着手してくれる当日に、
当初の予定と違うことを、
その方にゴリ押ししようとしたからです。

その方は明らかに困っていました。

「いや、こっちにも予定があるので…」

その方にそう言われても、
課長はなかなか引き下がらずに、
私はヒヤヒヤしてしまいました。

お願いする立場なのに、
何でそんなに強い態度が取れるのか、
私には全く分かりませんでした。

確かにその方は、
課長のような役職付きとは違い、
平社員ではありましたが、
別な部署の所属で、
課長の部下でもありません。

その方が、
うちの電気器具を、
修理しなければならない理由など、
全く無いのです。

それでも、
うちの部署が困っているからと、
善意で修理を引き受けてくれたその方を、
強引な俺様課長のせいで、
これ以上、
困らせてはならないと思った私は、
さらに圧を加えるような課長の言動から、
その方を守るように、
一生懸命言葉を紡ぎました。

「そうですよね。
事前にそう仰っていたですものね」

私がそんな言葉を言っても、
課長はまだ、
何かを言い続けていたため、
修理を引き受けてくれたその方が、

「1日で修理が出来た方がいいでしょうけど、
すみません」

と謝罪の言葉を口にする事態になってしまい、
私はその方に対して申し訳なくて、

「ご自身のお仕事でもないことを、
お忙しい中ご協力いただくのに、
"すみません"
なんてとんでも無いです!」

と、
慌ててその方に言いました。

そんなやり取りを3人でしばらく続けて、
ようやくこれ以上押しても、
自分の思い通りにはならない、
と分かった課長は、

「まぁ、予定があるなら仕方ないけど」

と言って、
ようやく諦めてくれました。

不満いっぱいの男性

課長が諦めてくれたので、
その方は工具を持って、
修理する電気器具が置いてある、
私の部署が入っている部屋とは、
別の部屋へ、
歩いて行かれました。

私は電気器具の修理など出来ませんが、
自分がその方に、
修理を頼んだ責任がある以上、
少しでもその方を、
手伝えることは無いかと、
その方が修理をしてくれる間中、
その方のそばに居続けました。

その方は、
その方の周囲をウロウロしながら、
一生懸命手伝えることを探す私の心を、
和ませようと考えてくれたのか、
私に色々な世間話してくれました。

そして、その話の中で、

「あなたのところの課長は、いつもあんな感じなの?」

と聞いてこられたため、

「はい、自分の主張が強い方なんです。
こっちがご協力いただいている側なのに、
無理を言って申し訳ありません」

と答えました。

そうしたら、その方はこう言われたのです。

「いいですよ。
じゅんさんが転勤したら、
もう修理を引き受けませんから」

って。

この言葉を聞いて、私は。

嬉し恥ずかしい気持ちで、
胸がいっぱいになってしまいました。

ASDの私は、
とても真面目に働いているため、
職場で雑談をするようなことは、
ほとんどありません。

だから職場の人達と、
仕事で関わる時以外、
あまり交流したことは無いのです。

だから今回のように、
普段仕事で絡まない方に、
仕事以外のものを頼む場合、

ほとんど面識の無い方に、
私が突然、
お願いする形になってしまいます。

これって、
お願いする側もハードルが高いけれど、
お願いされる側も、
ちょっと躊躇してしまうと思うのです。

そんな、
厚かましい私のお願いに対して、

「じゅんさんが転勤したら修理を引き受けない」

という言葉は、

職場で一生懸命働く私を、
好意的に受け入れている言葉

だと感じたのです。

職場で黙々と働くASDは、
人の会話には入っていかないし、
自分のことに集中しやすいため、
周囲に気を配ることも上手ではありません。

そんなASDの"愚直"な特性は、
日本の協調性を重んじる会社では、
敬遠されることも多いのです。

でも、そんな環境の中で。

ASDの特性を、
発揮している私が頼んだから、
お願いを引き受けたと取れる言葉は。

私はこの特性のままの私でいいのだ、
という喜びを、

私に感じさせてくれました。

だから、
私は改めて思ったのです。

ASDは人に嫌われやすい
と言われているけど、

この特性を、
好意的に受け入れてくれる人も、

ちゃんといてくれるのだ、

ということを。

楽しい雑談

そして、
私を受け入れてくれている、
その方とした世間話は。

やはりとても楽しかったのです。

ありのままの自分を、
受け入れてもらえることは、
とても心が軽くって、
幸せにな気持ちになるのだ、
ということ。

すごく、すごく嬉しかったので。

私の体験をシェアさせていただきました。