私の成育歴の記事一覧は、愛着障害に関する成育歴にあります。
前回の記事はこちら→マルトリートメントと私62.父に対する兄の態度の変化
※自分の記憶に基づいて書いているため、事実と違っている可能性があります。
出稼ぎから家に帰ってきても、
兄に相手にされなくなってきた父は、
そんな父を可哀想に思い、
出来るだけ側にいようとする私と、
話すことが少しだけ増えてきました。
小学生の頃に父から受けた、
性的なマルトリートメントのために、
父の前に出ると、
体は緊張して固くなっていたものの、
その現実をキチンと受け止めていたら、
気が狂うかもしれなかった私の意識は、
その事実をまるでなかったかのように、
記憶の奥底に沈み込ませていたため、
父の前では無意識に、
なるべく肌が露出しない服を着るといった、
自分で意識していない制限はあったものの、
父の前で場面緘黙症に陥っていた私も、
父の機嫌が良い時には、
2人で会話が出来るようになるまでに、
何とか親子らしい振る舞いが、
出来るようになっていました。
そんな前振りがあったため。
父が家に帰ってきていた時に、
たまたま地域の花火大会があったので、
私は父に対して、
友達と夜店を回ってくるけれど、
お土産は何がいいかを聞きました。
人に対して気配りといったものを、
全くしない父は、
「焼きイカの下足じゃない方を3本でいいや」
という、
1本でも夜店の商品の中では、
かなり高額のものの、
本数まで指定してきました。
父の言う通りに買おうとしたら、
私がその日に持っていく予定だった、
お小遣いの額を超えてしまい、
私は自分のものは、
何も買えなくなってしまいます。
それは買えないと私がいうと、
「お前が自分で聞いてきたんじゃないか!!」
と父はまた怒り出し、
私は自分が優しい気持ちで言った言葉に、
このような態度しか取らない父親が、
本当に情けなくて悔しくて、
涙が出そうになりました。
そんな私と父とのやり取りを見ていた母が、
私をそっと呼び出して、
「お母さんも食べたいから買ってきて」
と言って私に、
父が言った分の焼きイカを買ってこれるだけの、
お金を渡してくれました。
私は父に自分のお小遣いの中から、
お土産を買ってきてあげたかったのですが、
そんな人の気持ちなど考えない父は、
「お前達が食べるような子供のオヤツなんかいるもんか!!」
と怒鳴っていたために、
私は母が気遣って出してくれた、
お金を受け取り、
使いっ走りのように、
父が食べたいと言った焼きイカを、
買ってきました。
焼きイカを差し出しても、
父はお礼を言うこともなく、
ただガツガツと食べて満足すると、
「後はもう要らねー、お前らで食べろ」
と放り出しました。
それは1本残すとか言った形ではなく、
本当に食べかけで、
私は自分達を侮辱されたように感じて、
とても腹が立ちました。
それでも私を気遣ってか、
「美味しそうねぇ」
と言って、
父の食べかけを食べてくれた母に、
私も気を取り直して、
夜店での楽しかった話をしました。
「ハムスターが売っていてね、
とっても可愛かったんだよ」
私にとってハムスターは、
幸せな家族の象徴でした。
それは優しくて常識的な、
父の弟の叔父さんの子供達(私の従兄妹)が、
ハムスターを飼っていて、
その叔父さんと一緒に、
ハムスターを囲んで可愛がっている姿が、
とても羨ましかったからでした。
けれど、その話をした時の母は、
とても嫌そうな顔を私に向けました。
「お母さん、ネズミだけは嫌よ!!」
母のあまりの嫌悪ぶりに、
私はとても驚いたのですが、
動物が好きな父が、
この時だけは私の言葉に反応しました。
「じゅんはハムスターが飼いたいのか?」
父の言葉に私は戸惑いました。
私は皆んなで可愛がりたいと思っていたので、
お母さんが嫌がっていることを、
気にしていました。
でも、動物好きな父がとても嬉しそうな顔で、
「飼いたかったら、お父さんが一緒に夜店までついていってやる」
とまで言ってきたために私は、
母の反対を気にして飼わないという言葉が、
言えなくなってしまっていました。
そして私の心の中には、
私がハムスターを飼ったら、
昔、リスを飼いたいと言っていた父と、
仲良く過ごすことが出来るのではないか、
という期待も、
湧き上がってしまったのです。
それは、生まれた時から、
父に要らないと言われていた私にとって、
とても魅力的な想像でした。
そのため私は母から、
「お母さんは絶対面倒見ないからね!!」
と言われながら、
父と一緒に夜店に出かけました。
そして、私は夜店で、
目の黒い1匹のハムスターを、
買って帰りました。
(もちろん父がお金をだすことはなく、
自分で買いました)
私のお小遣いでは、
ハムスターと餌を買うのがやっとで、
ケージまでは買えませんでした。
父はそんな私を見ながら、
「お前の好きなようにしたらいい」
と、一切何のアドバイスもしませんでした。
そのため浅はかな中学生だった私は、
飼ってきたハムスターを、
入れる場所が無いからと、
ネズミの嫌いな母の目に触れないよう、
自分の部屋に大きな段ボール箱を置き、
その中にハムスターを入れて眠りました。
父と一緒に夜店に行ったという、
楽しい思い出のまま眠りについた私が、
異変に気付いたのは夜中でした。
カリ、カリ、カリ、、、
電気を消した暗い部屋で、
異様な音がしたため、
私は布団から起きて電気をつけました。
音のした方を確認すると、
段ボール箱に入れていたはずのハムスターが、
私の部屋の隅の襖を、
かじっているところでした。
ハムスターを入れていた段ボール箱には、
ハムスターが出られるくらいの、
丸い穴が空いていて、
段ボールをかじって外に出たのだと、
分かりました。
私の頭の中には、
木造の我が家の柱をかじったことで、
怒り狂う母と、
また私が余計なことをしたと、
侮蔑する兄の顔が、
かわるがわる浮かびました。
私の部屋の隣の居間からは、
アルコールを好きなだけ飲んで、
気持ちよく寝ている父のイビキが、
大きな音で聞こえてきていました。
私は自分で何とかするしかないと、
布団から這い出して、
部屋の隅にいたハムスターを、
段ボール箱の中に入れ、
ハムスターが逃げ出すたびに、
捕まえて段ボール箱に入れるといった作業を、
一晩中繰り返しました。
父のイビキが響き渡る部屋で、
私はハムスターが、
部屋から逃げ出さないよう見張るため、
一睡も出来ませんでした。
翌日の朝をようやく迎え、
起き出した父に状況を説明しても、
「段ボールなんて食い破られるのは当たり前だろう」
というばかりで、
何の解決策も教えてはくれず、
結局、母が、
昔鳥を飼っていた時に使っていた、
プラスチックの鳥籠を、
物置から出してきてくれました。
そんな父の態度に、
私は自分の迂闊さを呪いました。
私は父の喜ぶ顔が見たくて、
うっかり忘れていたのです。
父が自分の面倒さえ他人任せにする人間だということを。
そんな人間が、
買ってきた動物の面倒など、
私と一緒に見てくれる訳がなかったのでした。
そういえば。
我が家には、兄が小学校に入学する時に、
父の希望でもらってきた犬がいて、
その犬に幼い頃、崖から突き落とされた私は、
トラウマで犬に近づけなかったのですが、
兄が飼うという前提だったにも関わらず、
父も兄も可愛がって、
散歩などに連れて行っていたのは最初だけで、
結局、最後には、
母が1人で面倒を見ていました。
父が私のやりたいこと(ハムスターを飼うこと)を、
支持してくれたのが嬉しくて、
私はそのことをすっかり、
失念してしまっていたのでした。
父は動物を可愛がるけれど面倒は見ない人でした。
私は母から鳥籠を受け取り、
ハムスターを中に入れました。
従兄妹のように、
家族皆んなで可愛がる夢は、
叶わなかったけれど、
私がちゃんと面倒をみてあげよう。
私は鳥籠の中で、
新聞紙をくしゃくしゃにしている、
ハムスターの愛らしい姿を見ながら、
そんな風に思いました。
けれど、そんな私の思いを。
叶えることは出来なかったのでした…
マルトリートメントと私64.蕁麻疹とハムスターに続きます。