発達障害(ASD)グレーゾーン

ADHDとASD(グレーゾーン)の違い

私はASD(自閉症スペクトラム症)の中の
以前は、
アスペルガー症候群といわれていた障害の
グレーゾーンの人間です。

※アスペルガー症候群という名称は、2013年にDSMというアメリカ精神医学会の診断基準が第四版から第五版に改訂される時に、自閉スペクトラム症という名称に統一されています。

そんな私が先日、
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の方と
話をする機会がありました。

私が民間の発達障害専門カウンセラーの所に
通っている話をすると、
ADHDの方からこんなことを言われました。

「なんで高いお金を払って
民間のカウンセラーになんて通ってるの?
保険証を使えば安くなるんだから、
病院で診断を受けて、
薬を貰って治療を受ければいいじゃない」

この言葉に、同じ発達障害の人間でも、
ASDグレーゾーンとADHDでは
こんなにも現状に違いがあるのだと、
とても悲しい気分になりました。

私は自分をASDではないかと疑い、
2017年2月に心理士から
田中ビネー知能検査を受けた結果、
発達障害(ASD)のグレーゾーンである
ことが分かった人間です。

※心理士が行った検査のため、あくまで結果に基づく判定であり、診断ではありません。

実はその前にも
大人の発達障害を診断できるという
医師の診察を受けに行き

「アスペルガーのグレーゾーンだと思います」

との診断を受けていました。

しかし、その医師の診断を受けた時は
検査をしてもらえなかったため、
自分の能力がどのように
凸凹しているのか知りたくて、
発達障害の検査をしてくれるという
心理士の元を訪れたのでした。

しかし私が
発達障害専門カウンセラーを訪ねた理由は、
本当はそれだけではありません。

それは医師の診断を受けた際に、

「発達障害は脳機能の障害と
言われていますが、
原因は分かっていないので
治療する方法はありません」

「あなたより大変なアスペルガーの方は
大勢いらっしゃいます」

と言われ、私は辛い現実に対し
何の対処法を得る事もできないまま、
病院を後にしなければならなかった事も
関係していました。

病院ではASDグレーゾーンは
対応してもらえなかったのです。

そして現在私は、やっとみつけた
大人のASDグレーゾーンに対し、
社会で生きるための
スキルトレーニングを実施してくれる
発達障害専門カウンセラーのもとで
定期的にカウンセリングを
受けているのです。

ASDグレーゾーンは、
健康保険法という法律の対象から
こぼれてしまっている人間です。

だからといって何の手段を講じなくても
ASDグレーゾーンが
無事に生きていけるわけではありません。

現に発達障害専門カウンセラーの元に
辿り着くまでの私の心は、
追い詰められてかなり酷い状況でした。

それは私に対し、
発達障害の検査をしてくれた心理士から

「心がいっぱいいっぱいで悲鳴をあげていて、
今、発達障害を克服する訓練をしても
いっぱい過ぎて内容が入っていかないため、
まず、心を落ち着かすことから始めましょう」

と提案されるほどでした。

一見すると他の人間と変わらない、
病院の診断もつかないASDグレーゾーンは、
ただ単に『変わった人間』だとみられます。

それは、人と同じなのを良しとする
日本の社会の中では受け入れられず、
周囲の人間の苛めの対象となるばかりか、
学校の先生や会社の上司からでさえ、
脳機能の特性により
皆んなと同じことが出来ないのだと、
思って貰えることができず、

「態度が悪いダメな人間」

といったレッテルを、
貼られることにもなります。

そして、自分が
ASDグレーゾーンだと知らない場合、
人と同じ事が出来ないために
非難をされ続けることで劣等感を持ったり、
自分に絶望したりして、
2次障害をひきおこしたりするのです。

ASDグレーゾーンの子供に対して
療育等の、
行政の支援があるのは知っていますが、
大人のASDグレーゾーンに対しての
行政の支援を私は知りません。

そして、大人のASDグレーゾーンの場合、
会社員等として働いているのなら、
大体的な行政支援を受けるのを
ためらう気持ちもあると思います。

私達ASDグレーゾーンの望みは、

障害者の診断を受けることではなく
社会との摩擦なく幸せに生きること

だと思うからです。

周囲に障害者だと思われずに
社会と自分の特性に折り合いをつけて、
幸せに暮らしていくことが出来るなら、
それが一番良いのです。

私と話したADHDの方が、
どれだけ私の話を理解してくれたのか、
それは分かりません。

ただ、発達障害専門カウンセリングで
初めて社会との適切な関わり方を学べた私は、
これからも民間の
発達障害専門カウンセラーの元へ通うことで、
幸せに生きられる自分へ
成長していこうと思っています。