回想録

私が訛っておらず運動が出来ない理由

NHKアナウンサー

昨日から今日に掛けて、
父の3回忌のために、
鹿児島の実家に帰っていたのだけど。

その時に、
周囲の人達から何度も言われた言葉。

「じゅんは本当に鹿児島訛りが出ないねぇ」

私はそんな風に言われるたびに、

「鹿児島で暮らした時間より、
転勤で他の県で暮らした時間の方が、
もう長いですもんね」

と、
よそ行きスマイルで答えていたのだけど。

実は私は、小学生の頃から、
鹿児島訛りが無い、
と言われていました。

鹿児島弁

小学校の同級生達も、
鹿児島弁の訛りが強力だということは、
自覚があったらしく、
周囲に鹿児島弁しか喋る人のいない私が、
全く訛っていないことが、
相当に不思議だったようで、
同級生達は私に、
訛っていない理由を尋ねてくるのですが、
理由などなかった私が、
答えられないでいると、
私が、
訛らない秘密を隠していると思ったらしく、
あまりにも何度もしつこく、
同じ質問をしてくるため、
面倒くさくなった私は、

「標準語に憧れて、
NHKのキャスターの話し方をマネしたら、
戻らなくなっちゃったの」

という嘘を吐いて、
自分が訛っていない理由を、
同級生達に納得させていました。

NHKアナウンサー

どうして皆んな、訛らないのは理由があるって、確信してたんでしょうか…

でも、大人になって、
通信制大学の心理学科で学び出した時、
自分のこの嘘が、
あながち間違っていなかったことに、
気付きました。

それは、
児童の発達心理学を学んでいた時に、
知ったのだけど。

虐待されて育った子供は、
言葉の発達が遅く、
運動能力も育っていない

ということ。

私は言葉の発達が遅く、
同じ歳の子と比べて辿々しい喋りを、
よく父親から笑われて、
からかわれていました。

幼い頃に父親から要らないと言われた私は、
親から話しかけられて、
言葉を覚えることよりも。

お話レコードを1人で聞いて、
言葉を覚えることの方が断然に多かった

のです。

こんなのの絵本付きのレコード版を、
両親が買い与えてくれていました。

お話、きかせて!聴く絵本せかいどうわベスト100 朗読CD (<CD>)

 


(画像をクリックするとAmazonに飛びます)

そして。

私が小学生の頃に、
その子の運動能力を測る、
"体力・運動能力テスト"というものが、
2、4、5、6年生で実施され、
皆んなそのテストの結果に応じて、
5級〜1級というクラスに、
振り分けられたのですが。

私だけ、
その小学校で初めて、
運動能力が規定の最低ラインに届かず、

"級外"

という結果になりました。

父親に構ってもらえず、
母親も体が弱かったために、
私は小学校で行われた、
体力・運動能力テストで。

生まれて初めてボールを投げたため、
ボールを投げる力が育っておらず、
運動能力の最低ラインの基準を満たすことが、
出来なかったのです。

以前テレビをみて知ったのですが、
アスリートの夫婦に初めての子供が生まれた時、
その子の運動能力がとても優秀だったため、

「やっぱり運動神経は遺伝するんだね」

といって2番目の子を放っておいたら、
その子は運動出来ない子に育って、

「初めての子の運動能力が高かったのは、
運動が好きな両親が構って、
いっぱい運動させた結果だった」

ことが分かったそうです。

子供の頃は、
言葉がうまく喋れず、
運動も人並みに出来ない自分のことを、
とても劣った存在だと感じて、
こっそり泣いていたこともありましたが。

私が訛っておらず、
運動が出来ない理由は、
その生育歴に、
大きな要因がありました。

子供の頃の、
自分を責め続けていた自分に、
教えてあげたいです。

「あなたのせいじゃ無いんだよ」

って。

言葉の成長にも、
運動能力の成長にも、
人としての心の成長にも、
人との関わりが絶対に必要。

それが得られなかった子供は、
その成長過程で大変な苦労をします。

だからもし、
あなたの周囲に言葉が遅かったり、
運動が苦手だったりする子供がいたら、
少しだけ、
構ってあげてみてくれると嬉しいです。

私が子供の時に構ってもらえたら、
とても嬉しかったと思うから。

かくいう私も、
一人で離れている子供をみたら、
何だか近寄っていってしまいます。

"ぼっち"の気持ちは
"ぼっち"が一番よく分かるから。

でも、そんな子は、
あんまり馴れ馴れしく近づくと、
警戒されてしまうから、
適度な距離感が大切だけれど。

私に出来ることは僅かだけれど。

周囲のそんなちょっとした心配りで、
私みたいな子が、
減ってくれることを願っています。