幸せになる方法

ASD(自閉スペクトラム症)と愛着障害を抱えた私が別れ際に勇気を出してやったこと

友愛の握手

昨日は1年と4か月頑張って続けてきた、
ピラティス教室の最後の日でした。

教室を辞める理由は"転勤"

全くなんの希望もしていないのに、
上司から突然、転勤を言い渡され、
私が先生に辞めることを伝えたのは、
ほんの1週間前のことでした。

私が通っていたピラティス教室では、
レッスン日が自分で自由に決められるため、
次のレッスンの予約日の確認のために、
レッスンの終わりに出されるお茶と一緒に、
次のレッスンの予約日が記入された、
その日のレッスンの感想を書く用紙が、
配られます。

お茶

でも、昨日私に配られた、
レッスンの感想を書く用紙には、
次のレッスンの予約日が、
記載されていませんでした。

昨日が最終レッスン日だったのだから、
それは当たり前のことなのだけど、
予約日が記載されていない用紙を見ていたら、
まだ何となく実感を伴っていなかった、

このピラティス教室に通うのは今日が最後

という事実が、
突然目の前に突きつけられたように感じて、
私はとても寂しく感じて、
何だか泣きそうになってしまいました。

新しい環境が苦手なASDであり、
その生育歴に起因する、
自己肯定感の低さから、
人と関わるのが怖いと感じてしまう、
愛着障害の私が、
このピラティス教室で、
体を強張らせずに、
レッスンが受けられるようになるまで、
数ヶ月かかりました。

その間、
先生はすぐに緊張してしまう私に対して、

「じゅんさーん、体に力が入ってますよ。
肩の力を抜いてください」

と、
私の心をリラックスさせるように、
いつも笑顔で指摘してくれました。

その先生の指摘のお陰で、
私は自分の体に注意を向けるようになり、
ピラティス教室だけでなく、
職場でも、
私は体に力が入りやすいことに気付いて、
職場でもリラックスすることを心がけた結果、
以前よりも体が疲れなくなるという、
思わぬ効果を得ることが出来たのでした。

そうやって少しずつ慣れて、
楽しめるようになってきたピラティス教室。

先生にとって私は、
大勢いる生徒の中の1人に、
過ぎなかったかも知れないけれど。

私にとって、
いつも優しく声をかけてくれた先生は、
大好きな、
愛着の対象者の1人でした。

だから私は、

「このままお別れするのは寂しいな」

と思いました。

こんな風に私から思われていたなんて、
先生は知らないだろうし、
たかが習い事の教室で、
しかも1年と4か月程度通っただけで、
辞めるのが寂しくて泣いてしまう大人なんて、
一般的には、
引かれてしまうのかもしれないけれど。

私は世間の目を気にするよりも、
自分の気持ちを大切にして、
先生ときちんとお別れをしようと思いました。

私は先生と2人きりになれるよう、
ワザとノロノロと帰る用意をし、
他の生徒達が帰っていくのを見送りました。

そして、最後の1人になって、
自分が玄関を出ていく時に、
見送りで立っていた先生に対して、

「先生が、
お話ししながらレッスンをしてくれるのが、
とても楽しかったです」

そう、自分の気持ちを伝えました。

先生はやっぱり笑顔で、
私の言葉を聞いてくれました。

なんだか名残惜しかったけれど、
ずっと玄関でぐずぐずする訳にもいかないので、
私は自分の気持ちの踏ん切りをつけるために、

思い切って先生に握手を求めました。

先生から見ればただの1生徒だから、
何でこんなに1人で盛り上がってるんだと、
引かれるかもしれないと思いながら、
ビクビクと手を差し出すと、
先生は笑顔で手を握ってくれました。

友愛の握手

「ありがとうございました。
機会があったらまた、
レッスンに参加させてくださいね」

そんな機会は無いだろうと思いながら、
私が笑顔でそう言うと、
先生も笑顔で、

「お待ちしていますね」

と言ってくれて、
私はそのまま先生に手を振って、
笑顔で玄関を出ていきました。

玄関を後にしながら、
やっぱり私の目には、
涙が滲んでしまいました。

たかが、習い事なのだけど。

私には自分が安心して居られる、
大切な場所でした。

でも、
寂しい気持ちは変わらないけれど。

愛着障害を克服してきている私は、
こんな風に思うことが出来るのです。

私はきっとまた、
大切な居場所を作ることが出来る

って。

だから、別れは次の出会いだと思って、
受け入れていこうと思います。

ただ、泣いてしまうのは、
私の特性ということでお許し下さい。

お別れで涙が出るくらい、
大好きだと思える先生に、
出会えたことに感謝して。

昨日のことは、
そんな先生に対して、
怖がりながらも、
勇気を出して握手を求めることが出来た、
ステキな思い出として、
記憶しておこうと思います。